政治の潮目が変わり始めた─423日の選挙結果─H18.4.24)



【日本の政治の流れに変化が出てきた】
 政治の潮目に変化が現れた。衆議院千葉7区の補欠選挙で、小沢民主党が小泉自民党に競り勝ち、また岩国市長選、沖縄市長選、東広島市長選などで、与党系候補が相次いで敗れた。423日(日)の選挙結果である。
 昨年9月の総選挙で小泉自民党が圧勝し、公明党を含めて与党が衆議院の3分の2を占めて以来、日本の政治は自民党を中心とする与党の思うがままに動いてきた感があった。とくに前原民主党がメール問題でぶざまな姿をさらした結果、日本では政権交代可能な二大政党制は育たないのではないかとさえ思われた。その潮の流れが変わり始めたのである。

【小沢さんの陣頭指揮が流れを変えた切掛け】
 この新しい流れの切掛けは、何と言っても小沢民主党代表の誕生である。「天の時、地の利、人の和」が揃って、民由合併の小党側の党首であった小沢さんが、3年もたたないうちに代表の座に着いた(このHPの<政治評論>“小沢さんてどんな人”H18.4.9参照)。このベテラン政治家に対する待望と民主党内の結束が、地に落ちた民主党復活への期待となって、票に結びついたのである。
 小沢さんは、徹底して地道な選挙戦を展開した。自ら街頭に立って、格差対策を伴う真の改革とは何かを訴え、小泉改革の欺瞞性、小泉内外政策の失敗を指摘した。また古い付き合いを持つ小沢さんにしか出来ない企業、団体、労組めぐりをして、自民党に揺さぶりをかけた。菅代表代行、鳩山幹事長を先頭に、一人でも多くの国会議員が応援に入るように指示した。

【日本国民は小泉マジックから醒めていた】
 この小沢戦術の前に、ワンフレーズ絶叫型、劇場型の小泉マジック選挙は、色あせて見えた。小泉チルドレンを大量投入し、武部幹事長がジャンケンポンと叫び、小泉首相自らは改革という言葉だけを連呼する昨年89月の総選挙以来の戦術は、宙に浮いていた。
 日本国民は賢い。昨年9月の小泉マジックから既に醒めていた人が多い(このHPの<政治評論>”国民の熱狂が招いた4年間の自民独裁“H17.9.14参照)。朝日新聞の出口調査を見ると、無党派層の57%が民主党候補に入れている(30%が自民党候補)。また全体の中でも、40代以上の人では、民主党候補の支持が多かった。

【政策と人事が小沢民主党の次の課題】
 これからの民主党は、この結果に安心することなく、小沢・菅・鳩山のトロイカ体制を堅持し、9月の代表選で結束を崩さずに現執行部を信認し、来年の参院選に向かって力強い前進を開始すべきである。
 選挙は小沢、政務は菅、党務は鳩山という絶妙な配置の下で、やはり大切なのは真の改革を実行する政策体系とトロイカ以外の人事(候補者を含む)であろう。今後は小沢さんを中心に、自民党とは異なる分かり易い真の改革政策を打出し、老壮青の持ち味を活かした人事を行うべきであろう。それによって国民の信頼を固めるのが、次の大きな課題ではないか。