小沢さんてどんな人H18.4.9)


【シャイで不精で口が重いが信義誠実の人】
   
「小沢さんてどんな人?」。最近会う人ごとに受ける質問だ。野党第一党の民主党の救世主となった感のある小沢さんに、国民の関心がにわかに高まっている。
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7年間の衆議院議員を、小沢さんを党首とする新進党と自由党で過ごした私は、次のように答えている。
   
「小沢さんは、東北人によくあるシャイで不精で口の重い人だ。しかし、あれだけ政治的な力を備えていると、それが我がままで傲慢に見える。恐がられもする。
   
本当は信義に厚く、思いやりのある誠実な人だ。031月、私が世田谷区民会館の大ホールで千人集会を開いた時、風邪で40度の高熱を出し、周囲が止めたにも拘らず、私との約束を果たすために舞台に立ち、30分間の演説をしてくれた」。 

【一人でも多くの民主党議員と語り合え】
   
しかし、これからの小沢さんは、自身でも言っている通り、変わらなければならない。190人の国会議員を抱し、将来政権を取るためには400人にも膨張しなければならない民主党の代表としては、あらゆる機会をとらえて民主党の議員と会い、説明責任を果たさなければならない。シャイで不精だからではすまない。
   
小沢さんは「来る者は拒まず、去る者は追わず」というところがある。これも不精だからであろうか。しかし「来る者」には「巧言令色」の人も居る。「去る者」には貴重な人材も居る。シャイで不精で口が重くても、努力して貴重な人材を引き留めないと、小沢さんを利用しようとする巧言令色の人ばかりが取り巻きになる。側近政治では大きな党の代表は務まらない。小沢さん自身よく承知している筈だ。

【ぶれのない信念、政策で民主党に筋を通せ】
   
小沢さんはボトム・ダウン型の強いリーダーシップを持っているが、それが時として「剛腕」と言われる。小沢さんを知らない民主党の若い議員の中には、それを恐れている人が少なくない。
   
しかし、小沢さんのボトム・ダウンは、ぶれのない政治的信念、政策的理念と表裏になっている。これは貴重である。そういう人だからこそ、今の民主党―理念、原則、戦略を欠いた仲良しクラブ―にとって、救世主なのである。
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年以上前に小沢さんが出した『日本改造計画』を読み返してみると、今小沢さんが言っている事と同じである。官主導・中央支配を民自立・地方主権に変える、そのために規制緩和を進める、日米同盟を外交の基軸に置き近隣諸国と共生する、国連の集団的安全保障体制の中で日本の安全を守る、等々。
 このぶれない理念、原則、戦略に基づくトップダウンであれば、大いにやってよい。それによって、若い民主党の議員を鍛え、一本筋を通すことに躊躇する必要はない。その過程では、シャイで不精な小沢さんをかなぐり捨てて、侃々諤々の議論をして欲しい。

【天の時、地の利、人の和が小沢さんを呼んだ】
   
小沢さんの代表就任は、「天の時、地の利、人の和」が揃った結果である。そうでなければ、民由合併の小党側の党首が、3年もたたないうちに49票もの大差で代表に選ばれる筈がない。
   
ぶざまな民主党の姿を見て、国民は二大政党に基づく政権交代可能な議会制民主主義の誕生に絶望しかけていた。これを救えるのは、政権交代可能な二大政党制の実現に政治生命を賭け、自民党を飛び出して10年以上苦労を重ねて来た小沢さん以外にない。将に「天の時」である。
 4年間に鳩山、菅、岡田、前原と4人の代表が任期途中で退陣し、もはや小沢さんを除いて新鮮味のある代表候補はいなくなった。若手は今更顔を出せる幕ではない。小沢さんに「地の利」がある。
 小沢グループ、鳩山グループ、旧社会党系、旧民社党系が揃って小沢さんを支持した。グループに属さない若手も、多くが小沢さんに期待した。菅さんも、選挙後の一致結束を小沢さんと約し、負けるのを承知で存在感を示すために立候補した。民主党内に「人の和」が初めて出来た。

9月までに党内の結束固め、以後臨戦体制へ】
   
小沢さんは、9月に党員、サポーターを含め代表選挙を改めて行い、その上で来年の参院選に勝利し、その後の総選挙に臨み、政権交代を実現する構想を描いている。
   
そうだとすれば、9月までは、ニュー小沢の下で党内老壮青の結束を固めることが最優先となろう。人事、組織の面で、十分な配慮が必要であり、今回執行部を全員再任したのは適切である。9月に小沢代表が再選された後は、いよいよ来年の参院選と統一地方選に向けた臨戦体制である。ぶれない小沢さんの政策を、国民に分かり易く打ち出すことと、老壮青全てが奮い立つような新しい執行部体制と公認候補選びが大切である。
   
小沢さんのことだから、すべて承知しているに違いない。期して注目していきたい。