日本経済は長期停滞を脱することが出来るのか (H16.6.21)


─「小沢一郎政治塾」生の有志勉強会における講義─

   6月12日(土)夕刻、「小沢一郎政治塾」の卒業生32名程が「セシオン杉並」に集まり、自主的な勉強会を開いた。私はそこに講師として招かれたので、私の新著『日本経済 持続的成長の条件』をテキストに使い、1時間半程話をし、あとは活発な質問に答えた。
   以下は、私の話の筋道と、関連するテキスト=新著の頁を示したものである。
   なお、この新著『日本経済 持続的成長の条件』は、エコノミスト鈴木淑夫の立場で書いた本であるが、政治家小沢一郎氏から「この本の分析と主張には強い共感を覚えます」という言葉が寄せられている。



1.日本経済は長期停滞を脱することが出来るか
(1)景気の現状
   現状は長期停滞局面における3回目の景気回復 ─ 図1(4頁)、図2(11頁)
   今回は輸出・輸出関連設備投資リード型の回復が特色 ─ 表1(19頁)
   企業がビジネス・モデルの転換で人件費総額を減らしている ─ 表5(73頁)
   このため輸出増加が個人所得の増加を通じて国内景気を回復させるメカニズムが途切れている ─ 72〜75頁
   その上、年金改革と増税で国民負担は少なくとも2004年度に1.2兆円、2005年度以降は2.2兆円増えるので、消費が景気をリードする本格回復は難しい ─ 80〜81頁
   輸出と輸出関連設備投資が鈍化する2005年度以降、景気回復は減速し、デフレの収束は楽観を許さない ─ 76〜78頁

(2)どうしたら脱却できるか
イ、総需要曲線を右上にシフトさせる景気対策には限界がある
小泉政権下の3年間で財政赤字の実勢は13兆円増加し、財政刺激の余地は限られている ─ 21〜22頁
金融政策は「流動性のワナ」と「投資の利子非弾力性」の状態に陥っている ─ 23〜27頁
ロ、総供給曲線を右下にシフトさせる構造改革が必要
ビジネス・モデルの改革による総供給曲線の右下シフトは進んでいる ─ 112〜114頁、139〜141頁
仕組みを変える真の構造改革(99〜107頁)によって、官主導から民自立へ(121〜125頁)、中央支配から地方主権へ(191〜193頁)変えれば経済の効率が高まり、総供給曲線は右下へシフトする
「21世紀型"脱産業化"システムの時代」へ向かう(209〜211頁、229〜232頁、240〜243頁)

2.日本の財政をどうやって立て直すか
─141〜144頁─

3.年金制度の理想的な姿とは
─198〜204頁─