国内民間需要の支えで10〜12月期のマイナス成長は予想より小幅(H23.2.14)


【10〜12月期は予測より小幅のマイナス成長】
 本日(2/14)公表された10年10〜12月期のGDP(1次速報値)によると、10〜12月期の実質成長率は前期比−0.3%、年率−1.1%と5四半期振りのマイナス成長となった。
 家計消費の反動減を主因にマイナス成長となることは予測されていたが(このHPの<月例景気見通し>2011年2月版“10〜12月期マイナス成長のあと、アジア向け輸出と家計消費の回復で再び緩やかなプラス成長へ”H23.2.9参照)、そのマイナス幅は大方の予測(平均は前期比−0.5%、年率−2.1%)よりも小幅にとどまった。
 これは、家計消費のマイナスを住宅投資、設備投資、在庫投資のプラスが相殺し、国内民間需要の成長寄与度がゼロにとどまったことによる面が大きい。
 しかし国内公的需要と純輸出の成長寄与度がマイナスとなったため、全体として実質GDPはマイナス成長となった(下表参照)。




【1〜3月期から7〜9月期の下方修正により2010暦年の成長率は+3.9%】
 今回の10〜12月期の1次速報値の公表と合わせて、10年の1〜3月期から7〜9月期までのGDP統計が下方修正された。理由は定かではないが、下表の通り、主として国内需要が家計消費を中心に下方修正されたためである。
 この結果、下方修正前の1〜3月期から7〜9月期を前提に、今回の10〜12月期を加えた2010暦年の成長率は4%台前半になる筈であったが(前掲の<月例景気見通し>2011年2月版参照)、3四半期の計数が下方修正されたため、2010暦年の成長率は+3.9%となった。



【10〜12月期のマイナス成長は一過性】
 今回公表された計数によって、実質GDPと主要項目の推移を描くと、下のグラフのようになる。
 5四半期振りのマイナス成長は、従来から減少傾向を辿っている公共投資に加え、10〜12月期は民間消費支出と純輸出が減少したためであることが分かる。
 しかし、この二つの項目の減少は、エコカー補助金打ち切り前の需要急増の反動と、10年後半の世界経済減速の影響である。
 調整が続いていた鉱工業生産が10月を底に反転上昇し始めたこと、輸出が12月から再び伸び率を高め始めたこと、雇用と賃金の緩やかな回復を映じて家計の可処分所得が伸びていること、などから判断すると、家計消費と純輸出は再び回復に転じ、本年1〜3月期以降の成長率は緩やかなプラスに戻る公算が高いとみられる。