株価下落とは裏腹に7〜9月期の日本経済は順調に拡大

―7〜9月期のGDP1次速報値(H19.11.13)

【7〜9月期は予測を上回る+2.6%の成長】
 本日(11月13日)、7〜9月期のGDP統計が発表され、7〜9月期の実質成長率(年率)は+2.6%と、民間15調査機関の予測平均(+1.8%)を大きく上回る高目の成長率となった。
 このホームページの<月例景気見通し>(2007年11月版、H19.11.6)では、潜在成長率(2%弱)をやや上回る2%強と予測していたので、この予測に比べてもやや高目の成長率である。
 GDPの内訳は、<月例景気見通し>で予測した通り、住宅投資と公共投資がマイナスとなったものの、設備投資と家計消費の増加で内需全体はプラスとなり、加えて輸出が大きく伸びて純輸出の成長寄与率が高まったため、成長率全体も高目となっている。
 7月末から始まったサブプライム・ローン問題に端を発する国際金融の動揺と世界同時株安、円安バブルの破裂に伴う円高傾向は、7〜9月期の実体経済にはまったく陰を落としていない。
 7〜9月期の企業業績も着実に好転を続けており、この一週間の株安とは裏腹の動きとなっている。

【住宅投資の実勢以上の落ち込みが無ければ更に高成長になった筈】
 具体的に見て行くと、耐震基準の偽装防止のために採られた建築確認審査の厳格化に対し、審査側と建築業者の双方が不慣れのため、新設住宅着工が7月から大きく落ち込んでいる。これを反映し、7〜9月期の住宅投資は前期比−7.8%(年率−27.8%)、前年同期比−11.1%の大幅下落となった。これは実勢を現していないので、先に行ってある程度の反動増が予測される。
 この住宅投資の落ち込みだけで、7〜9月期の成長率は−0.3%下押しされている。逆に言えば、これなかりせば、7〜9月期の成長率は前期比+0.9%(年率3.6%)の高成長となった筈である。
 なお、公共投資の下落傾向持続によっても、成長率は−0.1%下押しされた。

【設備投資は着実な増加基調に戻る】
 このような住宅投資と公共投資のマイナス寄与にも拘らず、国内需要が全体としてプラスの成長寄与となったのは、主として設備投資と家計消費の着実な伸びによるものである。
 設備投資は、「法人企業統計」の中小企業サンプル替えに伴う歪みによって、4〜6月期は2次速報でプラスからマイナスに下方修生され、前期比−2.1%となっていたが、7〜9月期には再び+1.7%の増加となった。
 この水準は、前年同期比+1.5%である。「日銀短観」の本年度設備投資計画(全規模全産業+金融機関、ソフトウェアを含み土地投資を除く)が前年比+7.6%増であることから考えると、GDP統計の設備投資推計値には低目のバイアスがあるかも知れない。

【家計消費は緩やかな増勢を維持】
 家計消費は、前期比+0.3%増(年率+1.3%増)、前年同期比+2.4%増と緩やかながら底固い伸びを続けている。成長率に対する寄与度も+0.2%ポイントとなった。
 背景にある雇用者報酬の伸びは、前期比で名目、実質共に−0.2%の減少となった。7〜9月期における賃金の下落を反映したもので、雇用は緩やかに拡大している。
 もっとも、雇用者報酬の前年同期比は、名目+0.1%、実質+0.8%となっており、名目ではほとんど停滞しているが、実質では消費支出デフレーターの下落(前年同期比−0.6%減)に救われてプラスとなっている。
 家計消費の緩やかな拡大を支えているのは、現役世代の雇用者報酬というよりも、貯蓄の取り崩しと資産収入に頼る高齢者の支出が大きいのであろう。

【外需の成長寄与が3分の2】
 7〜9月期の成長の3分の2は、外需によるものであった。輸出は前期比+2.9%(年率+12.2%)も伸び、その成長寄与度は+0.5%ポイントに達した。
 他方、輸入は同+0.5%(同+2.0%)の増加にとどまったため、輸出から輸入を引いた純輸出の増加は、成長に対して+0.4%ポイントの寄与度となった。
 7〜9月期は、米国がまだ3%強の成長にとどまっているほか、アジアやユーロの経済拡大が順調なため、日本の輸出は大きく伸びることが出来た。
 10〜12月期には、米国の成長減速が必至であるが、米国を除く世界経済の力強い拡大が日本の輸出、ひいては成長をどの程度支え続けるかが注目される。