主張 その1 ― 改革と景気は両立できる ―

【政府の景気の誤認が日本経済をここまで疲弊させた】
   皆さん覚えていますか。平成14年5月、政府が「景気底入れ」宣言を発表しました。その時竹中大臣は景気が底入れした時に景気対策を打出すのは「愚の骨頂」などとNHKの日曜討論で主張しました。そして「公共投資の10%削減」、「消費税の課税対象を3千万円から1千万円に引下げ」、「外形標準課税の導入」などの景気の腰を折るような財政緊縮方針を矢継ぎ早に打出しました。その為に日本経済は、目を覆うばかりの惨状となりました。これを見て、株式市場は外人投資家を含めて、売り一色となり、小泉政権発足時には1万4千円台であった日経平均株価は、平成15年4月に7千6百円まで下がり、バブル崩壊後の最安値を更新して1982年頃の水準まで下ってしまいました。
   そもそもこの時の「景気底入れ」は、米国景気の一時的立直りによる輸出増加と過剰在庫が減ったことによるごく短期的な生産増加に過ぎず、明らかに政府の誤認であったのです。小泉政権は自らの事実誤認による経済政策の失敗を認めるどころか、更にこの政策を推し進めたのです。

【1割の輸出企業が立直り9割の国内企業は不況のまま】
   平成15年の秋頃から、1年以上停滞していた製造業の生産活動がようやく上向き始め、日経平均株価は1万円前後まで戻りました(それでも1984年頃の水準)。このため政府は、改革の成果の芽が出始めたなどと言って、平成16年度予算も相変わらずの緊縮方針を貫いています。
   しかし、生産活動が上向いたのは、小泉政権の改革とは何の関係もない理由によるものです。これは、イラク戦争の終了と大幅減税で米国経済が立直り、またSARS(流行性肺炎)の克服で中国経済が活性を取り戻したため、日本からの輸出が伸び始めたからです。これに伴って輸出関連大企業製造業の業績が回復し、設備投資が増え始めました。これには日本のIT産業が、デジタル家電関係の技術革新で息を吹き返したことも関係しています。
   要するに外国経済の回復と日本企業の自己努力のお陰であって、小泉改革とは何の関係もありません。輸出と関係の無い大部分の産業、中小企業、地方経済は、依然として不況のドン底であえいでいるのです。
   それもその筈で、輸出関連大企業に働く人は、就業者全体の1割に過ぎないのです。その1割の人達についても、男子常用雇用から女子や若年のパートへの転換、時間外労働の強化、賃上げやボーナスの抑制によって、人件費総額を減らし、社会保障の企業負担を減らしています。ですから企業収益は改善されても、一般国民の所得は改善せず、消費を中心とする9割の国内経済は不況から立直れないのです。

【私ならこういう政策を実施する】
   私が政権に参画していれば、いまはともかく景気が良くなる改革を最優先にします。すべては景気を浮上させ、日本経済全体が長い不況で落とした体力を回復することから始めなければなりません。そうなれば、不良債権処理も財政赤字削減も、呆気ないほどスムーズに解決してしまうでしょう。
   そこで具体的な政策の提案ですが、第一に、民間の経済活動を縛っている規制の撤廃を徹底します。とくに医療、介護、老人ホーム、教育、職業紹介、農業などの分野に民間企業の参入を促すことです。これを、小泉さんのように特定の地域で部分的にではなく、全国レベルで全面的に展開し、また特殊法人などの解体と政府事業の民営化を一挙に実現しビジネス・チャンスを増やすようにします。
   第二に、そのようなチャンスを活かして努力する人が報われるように、法人税基本税率の大幅な引き下げとベンチャー企業立上げや技術開発を一層優遇する税制に改めます。また同時に中小企業代表者の個人保証問題を解消し、日本にも再挑戦できる社会風土を創ります。
   第三に、規制撤廃や政府事業の民間解放で要らなくなった政府部門を思い切って縮小し、また電子政府化で人手を省く行政改革を急ぎ、減税の財源とします。
   第四に、東京の町が活性化するための諸施策を打ち出します。住民が住みやすく、商店街の皆さんが故郷としての東京に誇りを持てる美しい景観を創造することに配慮しながら、環境、防災、交通改善の対策を促進します。またその際、立体交差化と市街再整備、環八の下の大深度地下トンネル掘削などの意味のある都市の再活性化の公共事業も住民参加型の判断基準のもとに官民協同で進めます。

【結論   経済・政治の専門家として頑張ります】
   結論から言えば、小泉政権は不良債権処理や財政赤字削減を急いで経済を停滞させただけです。
   私は新しい任期の3年が過ぎても、小泉さんのやり方では経済が回復せず、財政赤字も増え続けると思います。この政策を止めさせ、先の私の政策を実施に移すためには、総選挙で自公を過半数以下に追い込むことが絶対に必要です。そうなれば政界再編成が起こり、私の政策を実施に移す「改革する保守」のグループが政権を奪取できると思います。
   その日の到来を目指しながら、経済・政治の専門家の一人として、また国民の一人として、努力して参りたいと思います。