「いつかは安全停止中原発を再稼働する必要」
―平野達男内閣府副大臣、東日本の真の復興のため
(『世界日報』2011年4月19日号)


 今年第2回の鈴木政経フォーラム(鈴木淑夫代表)の勉強会が18日、都内で行われ、ゲストとして講演した内閣府国家戦略担当の平野達男副大臣(被災者支援特別対策本部副本部長)は個人的見解と断りながらも、福島県民を含む国民の理解を得つつ、福島第1原発5,6号機を除き、「いつかは安全冷温停止中の原発を再稼働する必要がある」との見解を示した。被災した東日本の真の復興と日本経済再建のためには原発による安定的な電力供給が不可欠との認識を示したものと見られる。
 鈴木氏は東日本大震災の復興のためには、政府の政策を企業の期待成長率を高める「ビッグプッシュ」にすることが必要と指摘。しかし、その遂行に当たっては夏場に予想される電力供給の制約が非常に大きなネックになることを懸念し、「政治家の勇気ある決断」を求めた。平野副大臣の発言はこれに対する回答。
 東電によると今夏の電力需要のピークは5500万〜6000万キロワット。東電は火力発電、関西からの電力融通で5200万キロワットの電力供給を確保する予定だが、それでも、300万〜800万キロワット不足する。東日本大震災で安全停止中の原発のうち福島第1原発5、6号基を除く7基の原発の総供給量は770万キロワット。停止中の火力発電所の稼働をさらに増やせば、今夏を乗り越えられる見通しだ。
 鈴木氏は運転再開に当たって、@非常時の電源確保のため発電所構内に電源車を常時配備A海水くみ上げポンプの故障に備えて予備部品を用意B備え付け消防車を利用した使用済み核燃料プールへの注水ルートの確保―など今回の大津波の教訓を踏まえた措置を講じることが必要と指摘した。
 また、平野氏は「福島第1原発は(1号機など米国GE社製の)古い型の原子炉が稼働を続けたうえ、(津波も予想されたのに)自動冷却装置も海岸を向いており、津波で一時100%水没した」などの設計上、立地上の瑕疵もあり、こうした問題点の原因究明をする必要があることを指摘した。
 平野副大臣はこのほか、社債市場における東電のシェアが7%を占めていることから軽率な国有化は資本市場の混乱を招くとして、「国が一時的に立て替え、長期的に償還していく」という方式が望ましいとの認識を示した。