緊急座談会 ：ヤミ金融が日本経済を滅ぼす！（『月刊財界人』2003年2月号＆3月号）
－ ヤミ金融に包囲された貸金業界 －
〔 抜 粋 〕
出 席 者
海江田万里（民主党・政策調査会長）
鈴木 淑夫（自由党・衆院懲罰常任委員長）
小倉 利夫（全国貸金業協会連合会会長）
石井 恒男（東京都貸金業協会会長）
司会＝本誌編集部
悪貨が良貨を駆逐する――。
現下のヤミ金融はなんでもありの鬼の所業、社会問題と化している。そのヤミ金融に包囲されているのが、一般の中小貸金業者。
銀行の貸し渋りが横行する中で、貸金業界がパーソナル・ファイナンスサービス業として成立するにはどのような方策が必要か、熱き思いを語る。
ヤミ金融苦情ダイヤルの実態
編集部 非常に生々しい実態の報告がありましたが、それらを踏まえて、とかく消費者金融をヤミ金融とはき違えたりする向きもあるだけに、鈴木先生、産業としての貸金業界の地位なども含めてマクロ経済学的にはいかがでしょうか。
鈴木 出資法上の上限金利を40・００４％から29・２％に下げてから３年近くが経っていますが、今のようなお話をうかがって、私は２つのことを考えるんです。
一つは市場経済で金利を人為的に一定水準に規制すれば、必ず資金需給をバランスさせるために、それを破る価格メカニズムが違法なかたちで登場してくるということ。ご承知のように、高度成長のときには輸出と投資を促進するためと称して人為的に金利水準を低くしましたよね。自由金利のコールレートが10数％なのに、公定歩合を６％程度と非常に低くし、その公定歩合と連動するかたちで貸出標準金利を決めました。そうしたら何が起こったか。歩積両建てというかたちで、表面金利は７～９％、公定歩合は６～８とか言っていたけれど、実は歩積両建てを入れたら実質金利はどれくらいになるか、私は若い頃一生懸命計算してみました。当然２桁で、10数％の実質金利で大銀行も地方銀行も貸し出しをするという実態があったわけです。
このように、人為的低金利政策というのは絶対うまくいかない、必ず非合法なかたちで打ち破られ、かえって金融に歪みが生じるというのを18年間の高度成長で私たちは経験してきているわけです。ですから、今また同じ問題が起きているなと思うんですよ。
それからもう一つ、経済学の世界に「逆選択」「逆淘汰」という概念があります。これはどういうことかと言えば、たとえば病気の人が健康だと偽って保険に入ってしまうと保険会社は損をしますよね。それを防ぐため保険会社が保険加入の条件を厳しくする。そうすると何が起きるか。本来保険に入れるような一般の人が厳しい審査を通り抜けるのに手間がかかってシャットアウトされていくわけです。ところが、悪い奴が嘘をついてはびこってくるようになる。これが逆選択、逆淘汰の理論です。
この一番分かりやすい例として、よく挙げられるのが、禁酒法下のアメリカですよ。あれは酒の販売を野放図にしておくと飲みすぎて健康を害してしまう、だから禁止してしまえというものですが、禁酒したら善良なる酒飲みや単なる酒好きな人がシャットアウトされていった。ところが、ここでも逆選択、逆淘汰が起きてマフィアなどが入ってきて酒を売るわけです。そういうところから酒を買う連中は、一般的には禁止されているからガブガブと飲んで、結果としてアル中が増えてしまった。
今の貸金業界をめぐる状況、ヤミ金業者の跋扈もまったく同じじゃないですか。禁酒、つまり金利の規制をしたら、マフィアに相当するヤミ金業者が入ってきた。その結果、アル中つまり自己破産がガンガン増えたという悲惨な実情です。これはもうマクロ経済学で言うところの逆選択、逆淘汰の典型的な例ですよ。
貸金業界というのは、今まで「もう少し金利を上げて儲けさせてくれ」と言っているように聞こえるなど、どちらかといえば先程おっしゃっていたように我田引水的な議論をしているととらえられがちだった。だけど、人為的低金利政策をやってうまくいった例はない、必ず脱法行為や違法行為をする奴が出てきて悪い奴が得をする、脱法どころか完全な法律違反が行なわれるということは堂々と述べるべきだと思いますよ。
それからもう一つ、逆選択、逆淘汰が今まさにわが業界内に起きており、モラルハザードを退治しようと思ってやった規制が、逆にモラルハザードの極みともいうべき逆選択、逆淘汰でヤミ金融、自己破産の増加を生んでいる、とね。この意見は皆さん方業界が堂々と言うべきです。これは我田引水とは違う正当な議論ですよ。
金利規制よりも行為規制を
編集部 銀行の貸し渋りが横行するなかで、貸金業界がパーソナル・ファイナンスサービス業としてますます重要な社会的役割を果たしていることを十分理解しなければならない。
鈴木 上限金利の引き下げがこのヤミ金融の異常発生の原因の一つだと私は思っているんですが、海江田さんが指摘されたように、もう一つ大事な要素があります。それがマクロ経済情勢。
よく「今は不況だからこういう問題が起きているんですか」とおっしゃる方がいるけれど、その答えはイエスでありノーでもあるんですよ。ノーという部分は、ふつう不況になれば金融緩和で金利が下がって銀行が貸しあせりするという状況が生まれる。ところがそうはなっていないわけです。つまり、単に不況だからというのなら、今のようなこんな深刻な問題は起きません。
要するに、今の状態はただの不況ではないんですよ。不良債権の早期処理を10年もの経済停滞のあと、今になってやろうとしている。具体的に言えば、資本を喰い潰して不良債権を処理すれば自己資本比率が下がりますから、その自己資本比率が下がるのを防ごうとして分母の資産圧縮を図る。すなわち貸し渋り、貸し剥がしをやるわけです。それで中小企業あるいは個人に対するクレジットクランチ、信用のアベイラビリティの異常な低下が起きている。
このことによって、中小企業や個人がヤミ金融に追い込まれているというマクロ経済の状況もあるんです。ですから全部が全部、上限金利の引き下げによって発生したとは思いません。現在の政策不況がもう一つの大きな原因だということを指摘しておかないとバランスがとれない。
あくまで顧客保護の観点から行為規制の前提は届出制の強化
鈴木 結論のようなところに入ってしまうんですが、皆さんのご意見の中で私は二つ賛成点があるんです。
一つは価格規制よりも行為規制をという点。人為的低金利政策がまずいとなると「じゃあどうするのか」となりますが、その一つの答えが価格規制より行為規制だろうという話になっていくんだと思います。行為規制を行なうための前提が現在の届出制の強化なのではないか。
たとえば届出制ではなく許可制にすると、行政介入が強くなりすぎてしまうからまずいんです。自由経済の一番大事なところが失われてしまう。銀行業や保険業など今までずっと許可制できたものも今、届出制に変えようとしているわけですから、皆さん方の業界でも許可制ではなく届出制をきちんと行なう。もちろん届出に虚偽があった場合などは、業務停止というか廃業させるぐらいの勢いで徹底的にやるべきでしょう。
そして、それを前提に行為規制を強化する。行為規制に際しては、経済学で言う「情報の非対称性」、アシンメトリック・インフォメーションに配慮しなければいけません。皆さん方業者と個人が相対したとき、皆さん方は他の業者がいくらで貸しているということを知っているけれど、個人の情報は限られているんですよ。ですから、個人の顧客を保護するという立場での行為規制をきちんとやらなければいけない。行為規制というのは、あくまで顧客保護の観点でやらなければならないものですから。
それからもう一つ、上限金利をまったく取り払うわけにはいかないとなると、今のようなシーリングではなく、もう少し実情に応じてレンジ（幅）を持たせて考えられないかということ。融資のコストは期間とロットによって異なるわけです。皆さん方がやっているのは、どちらかと言えばロットが小さくて期間が短い。
小倉 そうなんです。
鈴木 これは両方とも金額単位あたりのコストが高くなる要因ですよ。一般的な金利の理論で言えば短期金利は低く長期金利は高いんですが、本当の短期というのはコストがすごくかかるんですね。こういうことにも配慮して、つまりあるレンジでの規制になりますけれど、もう少し合理的な金利体系を皆さん方がお考えになって、そういう主張もされるといいのではないでしょうか。合理的なデータの裏付けをしてね。
編集部 実勢金利に見合った中に上限金利が納まるといったような金利の多様性は競争原理のために必須だというようなお話が出てきました。
石井 大手業者が儲けすぎというのは同感です。私ども同じ業界の人間が嫉妬するくらい儲けている。同じ商売というのはみんな嫉妬深くてね（笑）。
法体系の整備で活力ある業界発展へ
編集部 前号では貸金業界の現状、ヤミ金融の実態、上限金利の問題、大手と中小零細の業界内格差などが話にあがりました。この業界がさらに活力あるものとなり、また産業として健全に発達していくためには何が必要なのか。
貸金業界は宿命的に性悪説に立った業法を抱いているということですね。鈴木先生、そのあたりについてはいかがでしょうか。
鈴木 銀行業法と貸金業法の関係についてですが、私は銀行業と貸金業は質的に違うと思っているんですよ。銀行業ばかりが優遇され、貸金業は一般の産業と同じように競争市場に突き放して何も助けてくれないと思われるかもしれませんが、それには理由がある。
というのは、銀行業というのは、ただ金を貸すだけではなく決済機能も担っています。預金を持っています。預金というのは通貨ですから、その振替の決済機能はいわば社会的なインフラストラクチャー、公共財です。そういう役割を担っているという意味で、銀行業と貸金業の仕事は根本的に違う。だから銀行業には預金保険機構があるし、今のような時代になったとき公的資金注入の話も出てくる。
しかし、そのことは同時に銀行業と貸金業の間にファイアーウォールを立てなければいけないということなんです。銀行の子会社が貸金業界に入ってきて、貸金業界が持つ伝統的な顧客情報を「オレにも見せろ」と言って、それを親会社に流すようなことは制度上絶対に許してはいけない。
ですから、皆さん方貸金業界は「銀行業は優遇されていいな」というのではなく、銀行業法と貸金業法は性格が違うからこそ間にファイアーウォールを立てろという主張をするべきです。性悪説でいじめられてという縮んだ発想ではなく、もっと前向きに明るい顔で正論をぶつけてほしいですね。
利息制限法は役割を終えた時代遅れの法律
石井 この業界には出資法の上限金利と利息制限法という金利に関する２法があるんです。そこに非常な歪みが生じていまして、貸金業規制法43条がそれをつなぐ条項だったんですけれども、それが一方で大量になされている返還請求という問題を抱え、こちらのほうが金利問題よりも問題なのではないかという業界内の声もある。
そもそも鈴木先生がおっしゃったように、利息制限法というのは銀行の高金利を押さえるための法律だったと思うんですが、それがいつの間にかまったく違うジャンルである我々の業界にも適用されてしまっているんですね。
鈴木 利息制限法というのは臨金法と並んで高度成長時代の人為的低金利政策の役割を担った法律で、ズバリ言ってしまえばもう役割を終えている時代遅れの法律。それを放置しておくから、大手と中小零細との間の整合性など歪みが生じてくるんです。利息制限法なんかいい加減に廃めてしまえばいいというのが私の意見です。
利息制限法というのはさっきも言いましたように高度成長期の低金利政策の遺物ですから、その中の必要な行為規制の部分はそれぞれの業界の実態に合わせたかたちで業法に吸収させて、利息制限法自体は廃めてしまえばいいんじゃないか。
金利を含めた貸金業３法の早急な見直しを
石井 先生方に利息制限法が時代にそぐわない、ということをズバリと指摘いただき感激しました。周知のように当業界には、利息制限法、貸金業規制法、出資法の３法がありますが、私はこの中でも、とりわけ利息制限法が一番問題ではないかと考えています。
利息というものはリスクに対する対価であり、何年も前にいただいた利息は、過去の利益にほかなりません。税金としても納めています。それがある日、突然「10年に遡って返還せよ」と来る。これでは本当に商売にならない。どんな世界に、取引の長いお客様ほど、信用が置けなくなるといった妙な商売があるでしょうか。これがいわゆる43条問題です。
ですから金利を含めた貸金業３法を早急に見直していただきませんと、貸金業界は社会的に機能しなくなってしまいます。たしかに、私どもは上限金利の限界までの金利を徴収する限界金融ということもあり、またヤミ金融のような一部の不心得者のために、それと同じように見られてしまいがちです。どうもそれが性悪説に結びついて、３法の不整合な部分もなおざりにされてきたのではと思っています。
鈴木 限界は決して悪いことじゃありませんよ。限界的にいいことをやる。限界の部分が大切な役割を果たすということもあるのですから。
石井 もちろんそうです。ただ、これまで学会でも政界でも、貸金業のあり方やそれをめぐる法体系などがまともに研究されてこなかった。今、それを行なう時期に来ていると感じています。
金融の話に戻りますが、真夜中の取り立てはもちろんのこと、最近はこういうことも起こっています。貸してもいない人のところに１通の催促状が来る。それで「おまえのところの債権は買ったから払え」とまったく根拠のないことを言ってくる。
また、求人誌にヤミと思われる業者が「金融会社」と称して求人広告を載せ若者を募集し、そしてその人たちに金主をやらせる。金主といっても50万円もあればできます。一人に２万、３万を年利数千％で貸すのですから、それで相当な利益となる。そこまで脱法行為、違法行為が進んでいる。
要するに貸金業規制法も何もわかっていない悪質な連中がヤミ市場を作っているわけですから、行為規制で罰則規定を厳しくすると同時に、少なくとも我々が内部から彼らを規制できるレベルの制度をお考えいただきたい。そこで加入者に対しては、徹底的に勉強してもらいます。貸金業法もわかった、利息制限法も出資法もわかった、事務ガイドラインもわかったというところまで持って行く。そうしないとこの業界はこの閉塞状況を打破して前に進めない。
鈴木 それは先ほど申し上げた届出制の中に入れておかなければならないでしょうね。届け出たら何をやってもいいというのではなく、研修を受けるといったようなことが当然必要になります。
小倉 現在の登録制には多少の条件がありますが、あまりにも安易すぎるので登録して悪いことをする人も多い。ですから、今おっしゃったように、登録制自体も厳しくして、窓口で登録を却下できるような状況にもっていかないといけないと思うんです。
とにかく東京で月２００件もの登録があるうち、５件か10件しか協会に入らず、あとは全部ヤミのほうに行ってしまっているという状況ですからね。
鈴木 賛成ですね。今の登録制は少しルーズですから、それをきちっとしましょうというのは非常に大事だと思う。
小倉 強制加入は難しいでしょうけれど、なんらかのかたちで協会に加入するメリットがないとね。今は入会することによって、逆に「法律を遵守しなさい」という方向になるものですから。ここはなんとか加入率が上がる方法を考えなければなりません。
協会加入のメリットと顧客教育
海江田 借りる側にしてみれば、その貸金業者が登録しているか、また協会に入っているかというようなことはほとんどわからないし、あまり気にしていないと思うんです。私も拝見したことがありますが、加入業者は店頭に協会のシールを貼っているけれど、一般の利用者はなかなかそういうところに目が行かない。協会全体やそれぞれの業者が自己規制など一生懸命自助努力しているのに、まだまだそれが消費者には伝わっていないわけです。そうしますと、一挙に請求権の話までいくのには若干無理があるんじゃないか。そういう意味でも、きちっと協会に入ってもらい、まずはそこから正していくことが先決だと思いますね。私どもとしては、どうやったらそれをバックアップできるか考えなければいけません。
鈴木 おまけに最近は事務所を持たず路上でやっている「０９０金融」などもある。
海江田 でも、借りる側はそのあたりをほとんど意識しない。だから、協会の皆さん方はまず「協会に入っているかどうか、ちゃんと確認してくださいよ」というようなＰＲを、これまで以上にやっていかないといけないでしょうね。
鈴木 「情報の非対称性」というのがありますから、皆さん方が一生懸命に顧客教育をしないといけないわけです。
海江田 許可と登録の違い、そしてその意味について、私どもはもう説明がいらない当たり前のこととして話していますが、借り手にしてみればその違いがわからない。実態はヤミ業者なんだけれど、登録番号をもらっていることで逆に借りる側に信頼を与えてしまっていたりする。だから今はむしろ登録制にしたことのデメリットのほうが前に出ているということもあります。
ヤミ金の被害者には若い人もたくさんいるわけですから、皆さん方のほうで顧客教育を行なうのはもちろんですが、それ以前の問題としてやはり学校教育あたりでもしっかりやっていくべきだと思うんですよ。
鈴木 学校教育、大いに賛成ですね。
ちょっと話が戻りますが、出資法の上限金利を29・２％に下げたのは実は自自公連立のときだったんです。それで自民党からは相沢さん、自由党から私、公明党から某氏が出て３人で議論した。
そのとき、我々はこの３つの絡みにあきれかえって、これじゃあダメだ、整理しようと言ったんですが、時間もないからとりあえず出資法の上限を下げることに止めた。その際に公明党が「何がなんでも30を切ってくれ」と言いましてね。それでかたちだけ１％切るかということで相沢さんと僕が折れたんです。それで野党の海江田先生などにも「これでご理解いただきたい」とお話しして通したんですよね。
海江田 そうでしたね。
鈴木 しかし、やはりそのときに一番議論になったのは利息制限法などとの絡み。今はもう人為的低金利政策の時代、高度成長の時代とは違うんだから、整理しなければと言っていました。だから海江田さんや私が政権をとれば（笑）、すぐにでも手をつけますよ。これは時代遅れのものがそのまま残っていて、木に竹を継いだような状態ですから。
小倉 利息制限法も昭和29年にできたものですからね。単価もまったく変わっていて、今の実態と全然合っていません。
ただ、あの１条に「金利以外は無効」とあるものですから、弁護士はそれを盾にしてくる。それで43条が適用されていながら受けられないということで争われるんです。
市場参入者が自由に 競争展開できる土壌を
編集部 そろそろまとめに入りたいと思います。この業界を活力ある市場原理に委ねた状態に持っていくためには、結論としてどういうことになるのでしょうか。
鈴木 これまでの話の中でも結論は出ていると思うんですが、整理いたしますと、やはり価格規制も必要ですが基本は行為規制であるということ。価格規制については、上限と言わずロットや期間によってコストが違うというデータを出し、ある程度幅をつけたほうがいいと思います。
それから、今の登録制では登録さえすれば何をしてもいいみたいなところがあって、きちんと行為規制するかたちになっていません。ですから、とんでもないことをやっているヤミ業者をちゃんと取り締まれるかたちにするということが必要ですね。
その主張の際の理論武装としては、私が申し上げた人為的低金利政策には何の利もないということ、「逆選択」「逆淘汰」の典型例であるということ、そして現在の経済情勢についておっしゃるといいと思います。
10年もの不況が続いたこの時期にきて、政府は不良債権処理を加速しようとしているわけです。90年代のはじめなら不良債権処理を急いでもいい。バブルに踊った大企業の不良債権が中心でしたから。でも今はそういう問題はだいぶ片付いて、10年間の経済停滞の中で真面目に経営しているのに期日に元金や金利が払えないという中小企業が増加し、それが不良債権化しているんです。そんな中で不良債権処理を加速したらどうなるか。中小企業が追い込まれると同時に、その裏を見れば銀行の貸し渋り、貸し剥がしになっていく。そのシワ寄せが貸金業界にも及んで、ヤミ金業者が大量に生まれる土壌になっているのではないでしょうか。
こんな不況が続いているかぎり、この問題はいつまでたっても根本的に解決しない。ですから業界の皆さん方は、こんな経済情勢をいつまでも放っておくようじゃ困るということもおっしゃるべきだと思いますね。