安倍政権と日本経済(H26.10.12)

―落合貴之と共に学ぶ勉強会における講演のレジュメと図表―

レジュメと図表

1.安倍政権登場前の日本経済(図表1)
 ○リーマンショック(米欧金融危機・世界同時不況)で戦後最長景気(02年2月〜08年2月)が挫折
 ○更に東北大震災(11年3月)もあって12年末まで経済は停滞、デフレは進行


2.アベノミクスの登場=円安と株高(図表2、3)

3本の矢  @大胆な金融緩和:実行 A財政出動:14年に入って息切れ B成長戦略:これから



3. @大胆な金融緩和=「量的・質的金融緩和」(異次元金融緩和)
 ○マネタリ―ベースを2倍にする(図表4)
 ○消費者物価(生鮮食品を除く)上昇率を2年程度で2%にする
      ↓
  狙いは予想インフレ率の上昇


4.異次元金融緩和が期待する効果波及経路(図表5)
予想インフレ率上昇=実質金利低下
 →設備・住宅投資増加
 →株式・土地などの資産価格上昇(消費増加)
 →円安で輸出増加
       ↓
需要・賃金・雇用の増加とインフレ率上昇


5.現実の経済動向
 ○名目賃金と雇用はジリジリと増加(図表6)。しかし




 ○消費税率引き上げもあって消費者物価が3%台の上昇率。実質雇用者所得と実質家計消費は減少(図業7)
 ○設備投資の増加率は高まらず、住宅投資と公共投資は減少(図表7)
 ○円安にも拘らず輸出は伸びず貿易収支は赤字(図表7)



 ○マネーストックの増加率も減少傾向(図表8)


6.アベノミクスの誤り
 ○国民が将来の経済に自信が持てない時に、いくら量的金融緩和を強化しても、景気と物価は上がらない(スタグフレーションへ)
 ○14年度の財政支出は減少、消費税は増税(アベノミクスの逆噴射)
 ○将来の経済に自信を持たせる「成長戦略」が掛け声だけ

7.解決策
 ○庶民にとってはデフレもインフレも生活破壊。2%インフレを目指す必要はない。これ以上の円安は国民生活の破壊。株高は格差を拡大する。
 ○既得権益を打破する規制緩和を医療・介護、保育・育児、農業、環境・エネルギー、都市再生・地域再生などの分野で強化(本物の成長戦略を)
 ○消費税率の10%の引き上げは、再来年(16年)1月に延期し、15年中に経済成長を第2と第3の矢で高める。