2008年、景気はどうなる?
―第6回世田谷フォーラム
(H19.12.16)

 12月16日(日)午後1時30分から午後3時45分迄、北沢タウンホールにおいて、第6回世田谷フォーラム(代表鈴木淑夫)が開かれた。第1部は「2008年、景気はどうなる?」と題する鈴木淑夫の講演、第2部は世界的に活躍している川畠成道さん(世田谷在住)のバイオリン・チャリティ・コンサートが行われた。収益の一部はカンボジアで救急体制支援および貧困家族の子供の教育支援活動を続けているNPO「サイド・バイ・サイド・インターナショナル」(在世田谷)に寄付された。
 川畠成道さんは九頭見香穂里さんのピアノ伴奏で、アンコール演奏を含めて12曲のバイオリン演奏を披露され、出席者に強い感銘を与えた。
以下は、第1部の講演要旨とその資料である。

講演「2008年、景気はどうなる?」
―要旨と資料―

○ 03年度以降現在まで、潜在成長率(1.5%強)を上回る2%強の成長が続いているが、国民には景気回復の実感がない。それは、輸出と輸出関連設備投資に偏った成長が続いているためで、国民生活に関連する家計消費の伸びは低く、住宅投資は減っている。



○ 輸出が著しく伸びている理由は、@米国やユーロ圏など先進国地域に加え、BRICsを中心とする新興国が力強い成長を続け、世界経済が着実に拡大していること、A日本の円相場が実質実効レートで見て、2000年以降3分の2に減価し(円安となり)、日本の価格競争が強まっていること、の2点。



○ 大幅円安の主因は、ゼロ金利や量的緩和など超金融緩和政策が01年以来実施され、今なお短期市場レートの誘導目標は0.5%に過ぎないため、低い金利で円を調達し、外貨に替えて高い金利で運用する円売り外貨買いの圧力が強いこと。しかし、超低金利と円安は家計に不利、企業に有利。輸出に偏った成長は企業内部や中央と地方の格差を拡大。





○ 企業と家計の格差拡大を具体的に見ると、企業収益はバブル期を上回っているのに対し、雇用者報酬は97年をピークに減っている。


○ 雇用者報酬の減少は、1人当たり給与総額が減っているためで、雇用者数は経済成長に伴ってジリジリ増えている。


○ 給与減少の内訳を見ると、賞与が07年になってやや増えたとは言え、一番大きく落ち込んでいる。定例給与(ベース・レート)の減少は、団塊の世代の退職に伴う若年化、非正規雇用の増加、一部企業の賃下げによる。時間外給与だけが増えているのは、企業が社会保険料負担の増える新規雇用を抑えているため。

○ このような企業と家計の格差は2008年も続くが、来年は物価上昇の負担が家計に加わって来る。消費者物価は本年2月から10月までの8か月間に+1.4%(年率+2.1%)上昇しているが、超低金利は据え置かれているため、家計の預貯金の目減りが進んで行く。



○ 今後の展望を、目先き07年度内と明年に分けて行うと、チェック・ポイントは以下の通り。