民主党「一新会」で郵政民営化について講演 (H16.11.1)


   10月28日(木)、民主党の当選1、2回の国会議員で構成されている「一新会」(会の名前は旧自由党のスローガン「日本一新」に由来)の第2回「定例会」に講師として招かれた。
   「一新会」側の希望により、テーマは"郵政事業民営化"とし、11時30分から40分程話をし、そのあと20分程の質疑応答を行った。若い国会議員達は、極めて真剣に改革の在り方を考えている。その成果が、今後の国会における質疑に反映されることを期待したい。
   以下は、講演の際に使ったレジュメである。


郵政事業民営化について

1.民営化は常に正しいわけではない
   ─鈴木淑夫著『日本経済 持続的成長の条件』(東洋経済、2004年)171〜184頁参照─
(1)民営化に適する「市場財」、適さない「公共財」
(2)郵貯と簡保は官業が供給する「市場財」
(3)郵便事業はナショナル・ミニマムを保障する「公共財」

2.小泉内閣の「基本方針」
(1)2007年に政府100%出資の「純粋持株会社」を作り、その傘下に「郵便保険会社」「郵便貯金会社」「郵便事業会社」「窓口ネットワーク会社」を置く。
(2)2017年までに「郵便保険会社」と「郵便貯金会社」を民有民営化。
(3)2007〜2017年に上記2会社は新規業務に参入可(いわゆる「コインの両面」論)。

3.2007年以降に起きること
(1)巨大な「郵便保険会社」と「郵便貯金会社」の出現、民業圧迫の恐れ。
(2)分社化した4会社のいずれかが赤字化、国民負担増加の恐れ。

4.「官から民」の改革理念に逆行
(1)郵政改革の基本的狙いは「公的金融」の縮小の筈。その絵が描かれていない。
(2)「郵貯」「簡保」2会社の「焼け太り」は、民間経済の市場機能を阻害。
(3)「郵貯」「簡保」がなくても「郵便局」の利便性は落ちない。

(注)詳しくは、上記1の鈴木淑夫の新著のほか、鈴木淑夫のホームページ(http://www.suzuki.org)の<最新コメント>欄"小泉郵政改革は「官から民」の改革基本理念に逆行する ─ 何のための郵政民営化かよく考えよ"(H16.9.16)を参照。

以上