民主党参議院議員候補に対する応援演説 <要旨>H19.7.26)


【「生活者」の皆さんに景気上昇の実感はありますか?】
 政府・自民党は、「いざなぎ景気」を抜いた戦後最長の景気上昇が続いていると言い、この参院選でも「成長を実感に」というスローガンをポスターなどに書いていますが、皆さん方「生活者」にその実感はありますか?無いのではありませんか?
 「いざなぎ景気」を超す戦後最長景気の中に居るという実感が無いのは当然です。大きな違いが少なくとも二つあるのです。

【10年間で1人当たり名目GDPは世界第3位から第13位に転落】
 第一に、「いざなぎ景気」の時は、毎年10数%で成長していました。今回は、橋本内閣の97年度超緊縮予算(増税7兆円、社会保険料引上げ2兆円、公共投資削減4兆円、合計13兆円の超デフレ予算)でマイナス成長となり、拓銀、山一、長銀、債銀など金融機関の大型倒産を招いて金融危機が激化し、小泉内閣が発足した01年までに、5年間を通計してたったの1%しか成長していません。小泉・安倍内閣の02〜06年度も毎年平均して2%程の成長に過ぎません。低成長の下で物価も下がっているので、06年度の名目GDPは97年度の水準にも戻っていません。
 このようなデフレを直すため、ゼロ金利政策などの超低金利が続いていますから、お金は金利の高い海外に流出し、円の為替相場はどんどん円安になっています。
 ですから、日本の一人当たり名目GDPをドルに換算して各国と比較してみると、10年前には世界第3位であったのに、どんどん低下して05年度は世界第13位、今年あたりは20位に近づいているのではないでしょうか。
 これが、政府・自民党がこの選挙で誇らしげに言う「戦後最長の景気上昇」「成長を実感に」の実態なのです。

【格差拡大で勤労者、中小企業、非正規社員、地方経済は悲鳴
 このように、一人当たりの日本の経済規模が縮んでいることに加え、企業と家計、大企業と中小企業、正社員と非正社員、中央と地方の格差が拡大しています。これでは地方の家計を預かる生活者の皆さんに、成長や景気上昇の実感が無いのは当然でしょう。「いざなぎ景気」の時は、大企業と中小企業の賃金格差、中央と地方の所得格差は、人手不足でどんどん縮小していたのですから、この点でも全然違います。
 企業はバブル期の放漫経営がたたって長い間人件費の圧迫に悩んだものですから、収益率がバブル期を上回る程回復してもベース・アップはせず、賃金の低い非正規社員を増やしています。このため勤労者の所得の合計は、まだ97年度の水準まで戻っていないのです。
 この上、小泉・安倍内閣は、02〜07年度に合計8兆円もの国民負担を増加させ(増税、社会保険料引上げ、医療費自己負担増)、減っている勤労者の家計収入を更に圧迫しています。これでは家計消費は回復できません。
 いまの2%成長は、円安で得をする輸出と輸出関連設備投資にリードさせているだけで、家計消費は伸びず、公共投資に至っては毎年削減されています。消費と公共投資に依存する度合いの高い地方経済が疲弊し、輸出企業の多い中央だけが発展する訳です。

【万年与党自民党とぬるま湯的年功序列型官僚制が結びついた現在の政治・官僚システムが問題の温床】
 生活者である国民の皆さんが、このような状態に陥っているのに、今回の選挙で自民党は、「美しい国日本」「成長を実感に」「改革実行力」などと、訳の分からない一人よがりのスローガンを叫んでいます。何故、自民党政治の目線は、国民の「生活」に向かないのでしょう?
 それは、55年以来、細川政権の短い時期を除いて、万年与党として半世紀以上過ごしてきた自民党と、ぬるま湯的な年功序列型官僚制が作り出した政治・行政システムに根本的な原因があります。
 政権交替がなく、自民党が万年与党であるならば、終身雇用の年功序列型官僚制は自民党の政策シンクタンクとなり、事実上、自民党の政策立案をリードするようになるのは当然でしょう。業界は監督官庁と自民党の族議員に結び付いて利権を維持し、官僚OBを受け入れ、族議員に金を渡し票を入れるようになりました。

【諸悪の根源は万年与党体制、政権交替が真の民主主義を創る】
 しかし、こうした政官業の癒着システムは次第に制度疲労を起こし、税金の無駄遣いをどんどん膨らませてきました。そこには業界の利益はあっても、国民の生活という視点はありません。税金も社会保険料も、国民からお預かりしているのだという原点すら忘れられています。
 その中で、今回問題になっている「消えた年金」、官製談合、自民党政治家の不透明な会計処理、官僚OBを養う特別会計・公益法人・独立行政法人の税金無駄遣いなどが生まれているのです。
 小沢代表率いる民主党が、「生活が向上しなければよい政治とは言えない」「国民の生活が第一」「政治とは生活だ」と訴え、政権交替で万年与党体制を変えなければ日本はよくならないと主張しているのは、誠にもってもっともな事です。
 政権交替がない議会制民主主義は、真の民主主義ではありません。主権者である国民の利益よりも、万年与党と終身雇用の官僚(OBを含めて)と業界の利益の方が優先されてしまうからです。
 今回の参院選で民主党を中心とする野党が参議院の多数を制すれば、政権交替へ向かって大きく前進します。日本の議会制民主主義を本物の民主主義にするために、是非、民主党の候補を勝たせて下さい。