第155回臨時国会活動報告

第155回臨時国会活動記録表

【補正予算の提出もない看板倒れの「経済国会」】
第155回臨時国会は,10月18日(金)に開幕し,予定通り57日間の会期を終え,12月13日(金)に閉幕した。
この国会は、当初、デフレ克服のための「経済国会」と位置付けられていたが、論戦は極めて低調で、何のために開いたのか分からないような空疎な国会であった。
そうなった第一の理由は、補正予算案の提出を来年の第156回通常国会に見送ったためである。小泉首相は、開幕当初、平成14年度予算では国債発行枠30兆円を守ると言い続けたので、補正予算を組む余地はなく、具体的な政策論争が行われる余地も少なかった。
30兆円枠を取り払って補正予算を組むと言い出したのは、国会閉幕直前の11月末である。しかもその全貌が明らかになったのは、会期の最後の週という野党を馬鹿にしたような態度を取ったのである。

【民主党と社民党の失速】
第二に、馬鹿にされた野党にも、若干の責任がある。野党第1等の民主党が、代表選挙とその後の役員人事を巡って党内がばらばらになり、政府・与党との論戦に力が入らず、党内の権力争いに終始した。国会開会中のこの姿に国民もあきれ果て、野党第1党であるにも関わらず、その支持率は数%にまで急落してしまった。
また社民党も北朝鮮の日本人拉致問題に関するこれまでの北朝鮮寄りの発言が批判され、謝罪を繰り返す有様となった。
最後に飛び出してきたのが、民主・自由合流という「幻の新党」である。野党協力の強化という方向では民主、自由、社民が一致しているにも関わらず、鳩山民主党代表の党内根回しが稚拙であったため、民主党内の権力闘争をいっそう激しくし、鳩山代表の引責辞任で幕を下ろした。
野党がこのような体たらくであったため、国会は与野党の論戦よりも、政府対与党の鞘当に焦点が当たることもしばしばであった。

【政府の「重要法案」はことごとく先送り】
空疎な国会となった第三の理由は、補正予算の先送りのみならず、およそ重要な法案が提出されなかったことである。重要な法案がないのであれば、国民の税金を使って臨時国会を開く必要がなかったのではないかとさえ思われる。
政府自身、前国会(第154回通常国会)で「最重要法案」と位置付け、野党の反対にあって継続審議となった個人情報保護法案と有事関連法案を、この第155回臨時国会で成立させようという気構えが全然無かった。前国会で野党に批判された部分を修正すべきかどうか、修正するとしたらどう修正するか、と言った諸点に付いて、与党内部でも、与党間でも、全然調整が出来ていないからである。
このため両方案の審議時間はきわめて短く、再度来年の通常国会に先送りされた。この二法案以外にも、人権擁護法案が同様に先送りされた。

【予算委員会が衆参で二回づつしか開かれない緩んだ国会 】
以上のような緩んだ国会の姿は、委員会の審議状況にも反映された。「私語」をきっかけとした乱闘寸前の事件や、無断欠席による定足数割れで審議が中断することもしばしばであった。
私は前国会に引続き懲罰常任委員長の職にあった。慣例により、常任委員長は他の委員会に出席し、審議に参加することは出来ない。衆参共に予算委員会が僅かに2回づつしか開かれないような国会であったので、あまり残念とも思わない。
常任委員長は名誉なことであるが、来年こそは一衆議院議員に戻って、論戦に復帰し、国民にわかる形で小泉経済政策の誤りを追及したいと思う。