第154回通常国会活動報告
第154回通常国会活動記録表 |
【異常なスキャンダル追求国会】
平成14年1月21日(月)に始まった第154回通常国会は、冒頭から政治とカネをめぐる不祥事が続発し、その追及に追われた。このため、当初の150日間の会期(6月19日まで)を42日間延長して192日としたにも拘らず、政府提出法案の成立率は84.6%にとどまった。しかも政府が「重要法案」と位置付けた四法案のうち、郵政事業改革法案と医療制度改革法案の二法案しか成立せず(しかも医療制度改革法案は与党の質疑打切り動議に基づく単独強行採決)、残りの個人情報法案と武力攻撃事態法案は継続審議となった。
まさに異常づくめのスキャンダル国会と言うほかない。
【政官業癒着の利益誘導に対する反対給付と秘書給与不正受領】
会期中に発生した政治とカネをめぐる不祥事は七件(自民5、民主1、社民1)、うち五人(鹿野道彦、鈴木宗男、加藤紘一、井上裕、宮路和明の各氏)は政官業癒着の利益誘導に対する反対給付としてのカネ(政治献金やワイロ)の受領であり、二人(田中真紀子、辻本清美の両氏)は公設秘書給与の不正受領である。その結果、一人が逮捕され(鈴木宗男氏)、三人が国会議員を辞職した(加藤紘一、辻本清美、井上裕の各氏)。
不祥事を追及する委員会が頻繁に開かれ、そこに首相や関係大臣が出席するため、法案審議の委員会が遅れたことについて、国民の間には釈然としない方もあろう。
【スキャンダルの追及は政治改革を進める一里塚】
しかし、政官業癒着の利益誘導に対する反対給付として政治献金やワイロ、あるいは票を受け取る自民党政治は、国民の利益を代表すべき国会議員が、一部少数の既得権益グループを擁護するという意味で、民主主義の基本に反する。自民党はその意味で、少数の既得権益グループの連合体であって、国民の多数の立場を代表している政党ではないのではないか。
鈴木宗男氏の事件はその分かり易い例であるが、元幹事長の加藤紘一氏や現職の参議院議長の井上裕氏も同じことをやっていたために議員を引責辞任した。ということは、自民党議員の多くが同じ事をやっているという意味で、これらが氷山の一角であり、自民党政治の本質を現しているのではないだろうか。
その事を国民に分かってもらうために、延々と不祥事追求を行った今国会は、政治改革を進める上で、一里塚であったと思う。
【積み残しの政府「重要」法案は重要ではない】
しかも、不祥事追求に時間をとられて不成立となった政府「重要」法案は、二本とも原案のままでは国民のためにならない法案だ。
まず個人情報保護法案は、本来、住民基本台帳ネットワークなどで政府が入手している個人情報を、政府やネットワーク侵入者が目的外に使用することを防ぐ法案でなければならないのにそうなっていない。むしろ反対に個人情報保護に名を借りて、政府がマスコミの報道を規制できるような法案になっている。
この二点を修正しない限り、政府原案は、むしろ成立しないほうが国民にとって良かったのである。
もう一つ継続審議となった政府「重要」法案は、武力攻撃事態法案である。このホームページの『論文・講演』欄の「BANCO」に"何故いま武力攻撃事態法か"(2002.5.22)と題して書いたように、この法案は冷戦時代のソ連軍の日本上陸作戦を想定したようなピントはずれの法案である。自然災害、テロ、社会不安、不審船進入など日本国民にとって現実的な緊急事態に対処する法案ではない。この法案も成立しないほうが良かったと思う。
【常任委員長であるため討論に参加出来ず】
不祥事追求に追われたこの国会では、経済問題の質疑はあまり脚光を浴びなかった。
その上、私は会期冒頭の本会議で「懲罰常任委員長」に任命された。常任委員長ポストは自由党に一つしか割り当てられておらず、しかも当選2回の私が任命されたのは光栄の至りである。
しかし、常任委員長になると、「公平無私」の委員長という立場上、他の委員会に出席して自分の党の立場で質疑を行うことが出来ない。TVなどの討論にも、所属する党を代表して出席することが出来ない。それが長年の国会の慣行となっている。
そのため私は、自由党の内部の会議では政調副会長として今まで通り活動したが、国会の他の委員会や本会議、あるいはTVでは会期中に活動することが出来なかった。
従って『第154回通常国会鈴木淑夫代議士活動記録表』には、懲罰常任委員長としての委員会開催1回と、常任委員長会議への出席1回のみしか記録されてない。本会議場における保守党と民主党のある二人の議員の行動が「院の秩序を乱した」のではないかとの疑いで、懲罰委員会に付託する懲罰案件として議事運営委員会に提起されていたが、これは結局取り下げとなった。