第153回通常国会活動報告

第153回臨時国会活動記録表

【景気対策より対米支援を優先した臨時国会】
 9月27日(木)に開会された第153回臨時国会は、72日間の会期を終え、予定通り12月7日(金)に閉幕した。
 この臨時国会は、日本の景気後退が一段と深刻化している中で開かれたにも拘らず、開会が9月末と遅れ、しかも開会直後はテロ対策が中心となって、第1次補正予算が提出されたのは11月下旬にずれ込んだ。その補正予算も後ろ向きの失業対策が中心の小型なもので、株価もまったく反応せず、誰も景気後退を止める力があるとは思っていない代物であった。
 このため、第1次補正予算が審議されている最中から第2次補正予算の話が与党内で語られるという、国会軽視もはなはだしい事態となった。


 問題の「テロ対策特措法」(実態は「対米支援法」)についても、本来なら外務委員会で審議すべきであるにも拘らず、田中真紀子外相ではとても務まらないという政府・与党の判断によって、テロ対策特別委員会を創設して審議するという身勝手なことをした。


【自由党はテロ対策特措法に明確に反対】
 テロ対策特措法は、自衛隊をインド洋やパキスタンに派遣することを可能にするための法律である。この戦争は、オサマ・ビンラーディン率いるイスラム原理主義のテロ組織が起こした米国内の同時多発テロに対して、米国が個別的自衛権を発動して反撃する戦いである。NATO諸国は米国との集団的自衛権に基づき戦いに参加した。しかし、日本は日米安保条約を見ても米国との間で集団的自衛権を約束していない。従って戦いを支援するとすれば、国連の武力容認決議がある場合に限られるが、今回はこれもない。米国が自分の戦いであるとして国連軍や多国籍軍を嫌がっているからだ。
 そうなると、たとえ後方支援だけだといっても、後方が敵の攻撃でいつ戦場に変わるか分らない現代戦では、参戦になる。これは憲法第9条違反である。
 自由党はこのような立場からテロ対策特措法に明確に反対した。民主党は与党と取引して賛成しようとしたが取引に失敗し、結局反対に回った。
 自由党の考え方について、詳しくはこのホームページ「雑誌掲載論文」欄の「BANCO」(金融財政)"自衛隊の海外派遣は正しいか"を参照されたい。

【株式買上げ機関創設と剰余金食いつぶしに反対】
 私が理事を務めている財務金融委員会においては、日本銀行の「半期報告」を審議した閉会中審査での質疑(9月21日)に続き、第153回臨時国会中には合計8回の質問を行った。このうち「銀行法の一部改正法案」については、店舗行政の廃止など自由化の方向に沿った改正なので、 遅きに失したとはいえ、賛成した。
 しかし、株価対策の観点から銀行保有株の買入れ機関を創設する「銀行等の株式等の保有の制限などに関する法案」については、銀行の株式保有制限には賛成するものの、株式買入れ機関の創設は不見識な株価対策であるため反対し、法案全体にも反対することとなった。
 また「平成12年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法案」は剰余金の半分以上を国債償還基金に積まなければいけないという財政法の規定に特例を設け、剰余金を全額第1次補正予算の財源に使うという法案である。これは本年度の国債発行額を30兆円以内に納めるためのごまかしである。30兆円の枠という財政規律を守るために剰余金積立てという他の財政規律を犠牲にした不合理な措置であり、自由党は反対した。

【証券税制改正とRCCの不良債権買入れ拡大に反対】
 財務金融関係ではあと2本の重要法案が出てきた。「証券税制改正法案」と「金融再生法の一部改正法案(いわゆる「RCC強化法案」)である。
 前者については、私は本会議で自由党を代表して質問演説を行った。後者についても、本会議で自由党を代表して反対演説を行った。いずれも自由党は法案に反対した。
 反対した理由については、このホームページの「最新のコメント」欄"改革のビジョンなき証券税制改正法案"(H13.11.2)と"RCCの不良債権買入れ拡大は必ず禍根を残す"(H13.12.3)を参照されたい。
 結局この臨時国会では、改革とは名ばかりの財務金融関係法案がほとんどであったので、大半に反対する結果となった。