2022年2月版
9〜11月の回復は再び足踏み、2月以降はオミクロン株感染拡大の収束時期と程度に懸かる

【10〜12月期回復のあと、1〜3月期はオミクロン株の感染拡大で景気回復は再び停滞気味】
 昨年10〜12月期の実質成長率は8月を中心としたコロナ禍第5波が収束したことに伴い、前期比年率+5.4%の大幅な伸びとなったが(図表3)、まだ今回景気後退前のピーク(19年4〜6月期)を2.9%下回っている。年明け後はオミクロン株の感染急拡大による第6波の影響で、再び対面型消費の落ち込みを中心に回復は足踏み状態となっている。1月の「景気ウォッチャー調査」の「現状判断DI」は37.9と前月差19.6ポイントの大幅悪化となった。「先行き判断DI」も42.5(前月差−7.8ポイント)と大きく低下した。
 1月と2月の製造工業生産予測調査は、前月比それぞれ+5.2%、+2.2%となっているが(図表1)、調査は1月10日時点のため、その後のコロナ禍拡大に伴う欠勤により、1月の生産、出荷活動はかなり下振れしていると見られる。
 2月に入って、コロナ禍第6波にはピークアウトの気配が一部地域には出ているが、未だ予断を許されず、1〜3月期全体の景況は再び足踏み状態となる可能性が高い。

【鉱工業生産、出荷は再び下振れ】
 昨年12月の鉱工業生産、出荷は、前月比それぞれ−1.0%、−0.1%と3か月振りに減少した(図表1)。汎用・業務用機械がアジアからの部材調達の停滞や物流逼迫の影響もあって前月比−4.9%の減少、生産用機械も半導体製造装置やプラスチック加工機械を中心に前月比−3.2%の減少となった。反面、自動車は前月比+1.5%増加したが、1月に入ってからオミクロン株の感染拡大で、一部操業を停止する主力工場が出ている。
 製造工業生産予測調査では、前月比、1月は+5.2%、2月は+2.2%となっているが、少なくとも1月については、自動車をはじめ、オミクロン株感染拡大で人手が不足し、操業停止に追い込まれる工場が出ているので、実績は予測よりも下振れると見られる。

【鉱工業製品の輸出は横這い、国内向け出荷と輸入は減少】
 12月の鉱工業出荷(前月比−0.1%)を国内向けと輸出に分けると、国内向けは汎用・業務用機械の減少(寄与度−0.57%)が大きく響いて前月比−0.4%となり、輸出は前月比横這いであった。輸出は輸送機械(自動車)の寄与度が+1.01%であったが、生産用機械の寄与度−1.68%が響いて横這いとなった。
 国産品の国内向け出荷(前月比−0.4%)に輸入を加えた鉱工業製品の国内向け総供給は、輸入も前月比−2.7%の減少となったため、全体で前月比−0.9%と3か月振りの減少となった。

【消費は9〜11月に立ち直ったあと、オミクロン株拡大で再び停滞気味】
 国内需要の動向を見ると、10〜12月期の実質GDP統計の家計消費は、前期比+1.4%の増加とコロナ禍第5波で同−0.5%と落ち込んだ前期の減少を取り戻した。しかし、月ごとの推移を見ると、「実質消費活動指数+」(日銀推計)や消費者態度指数(消費動向調査)の回復は9月から11月までで、12月と1月はオミクロン株の第6波に伴い再び低下している(図表2)。
 遅行指標の雇用動向では、12月に就業者数、雇用者数(図表2)の増加と完全失業者の減少が見られ、小幅ながら完全失業率の下落(図表2)、求人倍率の上昇が見られた。
 12月の現金給与総額は、引き続き前年比+0.2%の小幅上昇にとどまり、消費者物価の前年比+0.8%上昇の下で実質賃金は低下している。

【設備投資は増勢を持続しているが、住宅投資と公共投資は減勢】
 投資動向を見ると、10〜12月期の実質GDP統計における設備投資は、前期比+0.4%と前期に4四半期振りに減少(−2.4%)したあと、再び増加傾向に戻った(図表3)。
 機械投資を反映する資本財(除輸送機械)の国内向け総供給(国産品の国内向け出荷と輸入の合計)は、12月に前月比−3.6%と前月大幅増加(同+6.6%)の反動もあって減少した(図表2)。
 先行指標の機械受注(民需、除く船舶・電力)は、11月に前月比+3.4%と前月(同+3.8%)に続き増加し(図表2)、10〜11月平均の7〜9月平均比は+4.7%となり、10〜12月期(見通しは前期比+3.1%)は3四半期連続の増加となりそうである。このような先行指標の動きから見ても、設備投資は増加基調を維持していると見られる。
 10〜12月期の実質GDP統計の住宅投資は、前期比−0.9%と2四半期連続して減少した。先行指標の新設住宅着工戸数も、7〜9月をピークに10〜12月期は若干減少している(図表2)。大きな流れとしては、景気後退に続くコロナ禍で、住宅投資は19年7〜9月期をピークに、緩やかな減少傾向を続けている。
10〜12月期の公共投資は、前期比−3.3%と4四半期続けて減少した。

【名目値の国際収支は悪化しているが、輸入価格上昇の影響が大きく、輸入数量は減少して10〜12月期の実質外需は増加】
 最後に外需の動向を見ると、10〜12月期の実質GDP統計では、輸出が前期比+1.0%増加し、輸入が−0.3%減少したため、10〜12月期の「純輸出」は成長に+0.2%寄与した(図表3)。
 10〜12月期の国際収支統計では、GDP統計の「純輸出」に対応する貿易サービス収支が1兆6090億円の赤字と前期(1兆3516億円の赤字)よりも悪化した。しかし、言うまでもなくこれは名目値であり、実質GDP統計の計数はデフレーターで除した実質値である。輸入デフレーターは国際的なエネルギー価格の急騰を中心とするインフレ傾向を反映して、前年比+27.4%も上昇している。これに対して輸出デフレーターは同+10.9%にとどまっており、このインフレ格差を調整したGDP統計の実質値では、輸出の方が輸入より大きくなったと見られる。この傾向は、まだしばらく続くこととなろう。
 1〜3月期の国内動向は、オミクロン株の収束の時期と程度に左右されるであろう。いずれもにしても、全体として足踏み状態になることは免れないと見られる。