2017年3月版
金融超緩和に支えられた景気回復の広がりから、成長率はやや高まり、インフレ率もプラス領域へ

【実体面・金融面・物価面に景気回復の動き広がる】
 外需の回復傾向に加え、貸出とマネーストックの伸びにも支えられて、国内の設備投資、家計消費も徐々に確りしてきており、年明け後も昨年10〜12月期以降の景気立ち直りが続いている。1月の消費者物価(除、生鮮食品)の前年比は、+0.1%と13か月振りにプラスとなり、同(除、生鮮食品・エネルギー)は+0.2
%となった。
 米国のFRBは、3月14〜15日のFOMCで3回目の利上げを決定し、欧州のECBやスウェーデン中央銀行も量的緩和の縮小を進め、その打ち切り時期を模索している。内外の景気回復基調がこのまま続けば、日本も年内には金融政策転換の時期を探ることになるかも知れない。


【鉱工業製品の国内向け総供給は、資本財(除、輸送機械)、消費財を中心に順調な伸び】
 1月の鉱工業生産は、10〜12月期の急増(前期比+2.0%)の反動から前月比−0.4%となったが(図表1)、10〜12月期の平均に比べれば+0.6%の水準にある。製造工業生産予測調査によれば、2月は前月比+3.5%の大幅上昇となったあと、3月はその反動で同−5.0%の急反落となる(図表1)。鉱工業生産の実績が製造業生産の予測と同じであれば、1〜3月期は前期比+1.2%となり、ひきつづき増勢は保たれる。
 1月の鉱工業出荷は前月比+0.3%となった(図表1)。増加した主な業種は、電子部品・デバイス、情報通信機械、金属製品(橋りょうなど)、電気機械などである。
 この出荷を国内向け供給と輸出に分けると、国内向けが前月比+1.0%と増加した反面、輸入は同−6.3%の大幅減少となった。
 更に、この国内向け出荷に輸入を加えた国内向け総供給を見ると、輸入も同+2.6%とかなり増加したため、全体は同+1.8%とやや大きく増加した。
 この国内向け総供給の増加をリードした品目は、資本財(除、輸送機械)の同+0.9%、消費財の同+0.8%、生産財の同+1.1%などである。

【家計消費は野菜高騰の一巡から底固い基調に戻る】
 国内の需要動向を見ると、10〜12月期のGDP統計(2次速報値)の実質家計消費は、野菜の高騰から前期比0.0%の横這いにとどまったが、1月の「実質消費活動指数+」(日銀試算)は、野菜の値下がりもあって、104.6と前月比+1.3%、10〜12月平均比+0.5%の増加となり(図表2)、家計消費は再び底固い基調を取り戻したと見られる。
 背後の賃金・雇用動向を見ると、1月の現金給与総額は引き続き前年を上回っているが(+0.5%)、季調済み前月比では、前月に+0.3%とやや大きく増加した反動で−0.1%となった。1月の常用雇用は前年比+2.3%、前月比+0.3%と引き続きジリジリ増加している。就業者数、雇用者数もほぼ同様の傾向にある。
 1月の完全失業率は再び3.0%へ低下し(図表2)、求人倍率は高水準を続けている。
 これらを反映して、1月の勤労者世帯の実収入(「家計調査」)は、前月比+1.0%と3か月連続して増加している。

【設備投資は緩やかな増勢を持続】

 投資動向を見ると、10〜12月期の法人企業統計の設備投資(季調済み)は、前期比+3.5%となり、10〜12月期の実質GDP統計の設備投資は、1次速報値の同+0.9%から2次速報値では同+2.0%に上方修正された。
 足許の設備投資動向を示す資本財(除輸送機械)の国内向け総供給(国産品の国内向け出荷と輸入の合計)は、10〜12月期に前期比+3.9%と大きく伸びたあと、1月は前月比+0.9%、10〜12月平均比+0.4%の水準にある(図表2)。
 先行指標の機械受注(民需、除船舶・電力)は、1〜3月期の見通しが前期比+1.5%の増加となっているが、1月は前月比−3.2%、10〜12月平均比−2.8%の減少となった(図表2)。1〜3月期機械受注が全体としてどうなるかはまだ分からないが、昨年の7〜9月期、10〜12月期は2四半期連続して増加していることから見て(図表2)、目先1〜3月期の設備投資の実績は、増勢を維持する公算が高い。

【住宅投資は強含み横這い、公共投資は緩やかに減少】
 新設住宅着工戸数は、昨年4〜6月期をピークに頭打ちとなり、高水準のまま弱含みで推移していたが、1月は100.1万戸(年率)と再び大きく伸び(前月比+8.5%増、10〜12月平均比+5.0%)、昨年5月のピークに並んだ(図表2)。10〜12月期まで4四半期連続して増加しているGDP統計の実質住宅投資は、1〜3月期も高水準を維持しよう。
 公共投資は、7〜9月期、10〜12月期と2四半期連続して減少したが、公共建設工事受注額が10〜12月期に前年比−6.0%となったあと、本年1月も同−7.5%となっていることから見て、1〜3月期も減少する可能性が高い。

【「純輸出」の拡大続く】
 貿易・サービス収は16年1月以降一貫して黒字を続け、輸出の伸びが輸入の伸びを上回っていることから、黒字は趨勢的に拡大傾向を辿り(図表2)、実質GDP統計の「純輸出」は7〜9月期(成長寄与度+0.4%)と10〜12月期(同+0.2%)にプラス寄与となっているが、年明け後1〜2月平均の通関ベースの輸出入(季調済み)は、10〜12月平均に比し、輸出が+7.1%増、輸入が+6.7%増となり、月平均黒字額は10〜12月期の3905億円から1〜2月の4421億円に拡大している(+13.2%)。
 このような貿易黒字の拡大持続に伴い、1〜3月期の「純輸出」も、成長に対してプラスの寄与になると見られる。これは、基本的には円安傾向が続いているうえ、日本の経済成長率が世界の平均を下回っていることの帰結と思われる。

【1〜3月期の成長率はやや高まる可能性】
 以上を総括すると、1〜3月期の経済成長率は、7〜9月期、10〜12月期に続いて「純輸出」がプラス寄与となるほか、国内の景気回復が家計消費、設備投資を中心に確りしてくることから、やや高まる可能性が高いように思われる。