2015年8月版
緩やかな回復基調の下4〜6月期は一時的に足踏み

【4〜6月期は3四半期振りのマイナス成長】
 昨日(8/17)、4〜6月期のGDP統計(1次速報値)が公表され、4〜6月期の実質成長率は、−0.4%(年率−1.6%)と3四半期振りのマイナス成長となった。家計消費、設備投資を中心とする国内民間需要と純輸出が共に減少したためである。
 しかし、主要経済指標を点検してみると、家計消費と設備投資の減少は一時的の可能性が高い。鉱工業生産、出荷も、4〜6月期としては前期比減少したが、軽い在庫調整を終えて6月から回復に向かう気配を示している。
 景気回復の歩調が緩やかであることは間違いないが、回復が挫折したとは見られず、短期の「踊り場」と考えられる。

【軽微な在庫調整の一巡から鉱工業生産は6月以降緩やかに上昇する気配】
 鉱工業生産と出荷は、本年1月をピークに5月まで低下傾向を辿り、この間在庫率は上昇傾向を示していたが、6月は生産が前月比+0.8%、出荷が同+0.3%、在庫率は同−1.6%と反転し、7月と8月の製造工業生産予測調査は夫々同+0.5%、同+2.7%と6月から3か月連続上昇の予測となった(図表1)。2月から始まった資本財、耐久消費財の軽度の在庫調整が一巡し、6月から生産は緩やかな上昇局面に入る気配を示している。
 しかし、4〜6月期をくくって見ると、生産は前期比−1.5%、出荷は同−2.5%と共に3四半期振りのマイナスとなった。
 出荷を国内向けと輸出に分けてみると、この傾向は両者に共通しているが、とくに4〜6月期の輸出が前期比−3.6%と5四半期振りに大きく減少したことが目立つ。4〜6月期の国内向け出荷も同−2.4%と3四半期振りの減少であった。

【4〜6月期の鉱工業製品出荷は内外需共にマイナス】
 減少した国産品の国内向け出荷に輸入を加えた鉱工業製品の国内向け総供給を見ると、4〜6月期は輸入が前期比+0.1%とほぼ横這いにとどまったため、全体で同−2.0%とこれも3四半期振りの減少となった。
 この結果、鉱工業製品の出荷動向から見た4〜6月期は、国内向けがマイナスとなったうえ、輸出(−2.4%)と輸入(+0.1%)の差額も大幅な輸入超過となり、内外需共に成長の足を引っ張る形となった。

【4〜6月期の家計消費は消費性向の低下から減少、雇用の改善傾向は続く】
 需要動向を見ると、まず6月の「家計調査」の実質消費支出(2人以上の世帯)は前月比−3.0%減少し、4〜6月期も前期比−3.2%と4四半期振りの減少となった。6月は前年同月比でも−2.0%の減少となった。
 しかし、勤労者所帯の可処分所得は、6月まで3か月続けて前年を上回っており、消費の減少は消費性向の低下によるものである。
 雇用は6月も改善傾向を続けており、「労調」の就業者と雇用者、「毎勤」の常用雇用者は、季調済み前月比で夫々+0.5%、+0.4%、+0.3%、前年比で+0.6%、+0.9%、+2.1%といずれも増加している。これが可処分所得の増加を支えたと見られる。
 6月の現金給与総額は、前年比−2.4%の減少となった。これは賞与の支給が前倒しになったため、6月の賞与が前年比−6.5%の減少となったことが大きく響いている。

【4〜6月期の設備投資減少は一時的】
 設備投資は、足許の動向を反映する資本財(除、輸送機械)の国内総供給(国産品の国内向け出荷と輸入の合計)が、6月は前月比+0.9%と3か月連続で増加したが、4〜6月期はマイナスのゲタが大きかったため、前期比−0.6%の減少となった。先行指標の機械受注(民需、除く船舶・電力)は、4〜6月期に前期比+2.9%と4四半期連続で増加し、7〜9月の見通しも同+0.3%となっている。4〜6月期のGDP統計(1次速報値)の実質設備投資は、前期比−0.1%の微減となり、3四半期振りに増勢が止まったが、設備投資の実勢は弱くはなく、法人企業統計次第では2次速報値でプラスに転じる可能性もある。

【住宅投資は回復基調、公共投資は頭打ち】
 新設住宅着工戸数は、6月も103万3千戸(季調済み、年率)と前月を13.4%上回り、4〜6月期は前期比+6.3%と3四半期連続で増加した(図表2)。これを反映して、4〜6月期のGDPベースの実質住宅投資は、前期比+1.9%と2四半期連続で増加した。
 公共投資は、15年度の公共事業予算が前年比横這いとなっていることを反映して、公共工事受注高が前年比減少に転じているため(図表2)、実質GDPベースで1〜3月期は前期比−1.2%、4〜6月期は同+2.6%と大勢は横這い傾向となっている。

【貿易収支の赤字縮小は足踏み、経常収支は引き続き黒字拡大】
 4〜6月期の外需は、既に見たように鉱工業製品の貿易収支が悪化したことに現れているように、実質貿易収支では悪化した(図表2)。金額ベースでも、4〜6月期の貿易・サービス収支(季調済み)は6904億円の赤字と前期に比し赤字幅は20.4%拡大した。他方、4〜6月期の経常収支(同)は、所得収支の黒字拡大によって4兆2108億円の黒字と前期比8.9%の黒字幅拡大となった。
 しかし、4〜6月期の実質GDPベースの「純輸出」は、成長率に対する寄与度で前期比−0.3%と2四半期連続して成長と足を引っ張る形となった。

【4〜6月期のマイナス成長は一時的】
 8月17日に公表された4〜6月期のGDP統計(1次速報値)では、内需が家計消費と設備投資の減少から成長率に対して−0.1%のマイナス寄与度となり、外需も上記の通り−0.3%のマイナス寄与度となったため、実質成長率は前期比−0.4%(年率−1.6%)と3四半期振りのマイナス成長となった。
 しかし、家計の可処分所得の増加、機械受注の回復傾向から見て、4〜6月期の国内民間需要の減少は一時的と見られる。世界経済を反映した外需の動向にもよるが、7〜9月期は再びプラス成長に戻る蓋然性が高いように思われる。