2000年3月版

‐ 年明け後の景気指標は好転 ‐

【生産は5四半期連続の増加が確実に】
年明け後、1月の景気指標は一斉に好転している。まず1月の鉱工業生産の実績は+0.9%の増加となり、生産予測指数は2月+2.7%、3月−3.2%となった(図表1参照)。この結果、実績が予測指数通りであれば、1〜3月期の鉱工業生産平均は、前期比+2.3%の増加となる。これは通産省公表のX‐11による季節調整では、3四半期連続の生産増加であり、曜日構成も調整できるX-12ARIMAによる季節調整では5四半期連続の生産上昇である。生産増加に対する寄与が大きいのは、電気電子機械、一般機械、自動車、鉄鋼などである。どちらかといえば、輸出や設備投資関連が中心である。


【設備投資の底入れは間近か】

出荷面をみても、設備投資(一部は輸出)と関連の深い一般資本財(輸送機械を除く資本財)の出荷は、1月に前月比+4.8%と大幅に増加した。これで一般資本財出荷の前年同月比は昨年11月から3ヶ月連続で前年を上回り、本年1月は+7.0%に達した。もちろん昨年10〜12月期の平均も、前年同期比でプラスに転じた(図表2参照)。昨年10〜12月期のGDP統計における設備投資は、間もなく公表される大蔵省「法人企業統計季報」に基づいて推計されるが、資本金1億円以上の法人4,528社(うち回答4,305社、GDPカバレッジ62%)を対象とした企画庁「法人企業動向調査」によると、昨年10〜12月期の全産業設備投資は前期比+2.7%の増加、そのうち製造業は+8.5%とかなり大幅な増加となっている。6〜9ヶ月先の設備投資を示すとされる先行指標の機械受注(民需、除船舶・電力)は、昨年10〜12月期に前期比+9.9%、前年同期比+6.1%とはっきりした立直りを示している(図表2参照)。設備投資が景気全体の牽引力となる日も、そう遠くないのではないか。


【年明け後の消費は立直りの兆】

他方個人消費は、昨年10〜12月期にかなり落込んだ。図表2に示したように、全世帯の消費水準や乗用車新車登録台数の前年比は、10〜12月期に3%以上のマイナスとなった。これは冬期ボーナスの落込みとコンピュータ2000年問題に伴なう買控えが響いたと見られる。この結果、間もなく発表になる昨年10〜12月のGDPは、個人消費の大幅減少を主因にかなりのマイナスとなろう。しかし、10〜12月期の反動もあって、1月の乗用車新車登録台数は、前月比+12.0%、前年比+3.9%の大幅増加となった(図表2参照)。2月も軽自動車を除くベースで、前年比+0.8%となった。同様に、1月の全国百貨店の売上高も前月比+2.8%と、久方振りのプラスとなった。他方1月の全世帯消費水準は前年比−2.8%と12月(同−4.1%)に比してマイナス幅を縮小し(図表2参照)、季節調整済前月比は+2.1%の増加となった。消費動向の背後にある所得面も、例えば1月の現金給与総額は、ボーナスのマイナスが響かなくなったためもあって、前年比で名目は+1.8%、実質で+2.9%と昨年10〜12月期のマイナス(夫々−1.2%、−0.1%)からプラスに転じた。


【昨年下期に2四半期連続マイナス成長の後本年1〜3月期から再びプラス成長へ】

また新設住宅着工戸数も、季節調整済み年率換算で135.2万戸と昨年後半の110万戸台からハネ上り、前年比は+16.8%にも達した(図表2参照)。もっともこれは公庫融資に伴なう一時的集中とみられ、基調の好転とは見られない。他方、1月の公共工事請負額は、前月比で+2.9%と増加し、前年比マイナス幅も昨年10〜12月期の−12.7%から−6.1%に縮小した。99年度公共事業予備費5000億円の執行、同第2次補正予算の実施によって、昨年10〜12月期に落込んだ公共投資は、本年1〜3月期から4〜6月期にかけて立直り、2000年度予算の3月成立、4月執行によって7〜9月期までは息切れなしに推移するであろう。GDPは昨年下期に2四半期連続でマイナスとなったあと、本年1〜3月以降は再びプラス成長に戻るのではないか(図表3参照)。