2000年2月版
‐ 10〜12月期は弱かったが1〜3月期以降は回復へ ‐
【年明け後も生産上昇は着実に続いている】
12月の生産指数は前月比−1.4%の反動減となったが、12月の修正予測指数(−1.7%)よりは上振れしており、10〜12月平均は前期比+0.8%の増加となった。また1月の修正予測指数は+3.6%と当初予測指数(+3.1%)を更に上回る大幅上昇となり、更に2月の当初予測指数も+0.6%と続伸する。その結果1月と2月の前年同月比は+9%を上回る大幅上昇となる。図表1に明らかなように、年明け後の生産上昇は一段と加速する気配を示している。
曜日構成も調整できるX12-ARIMAで季節調整すると、生産指数の前期比は99年1〜3月に増加に転じて+0.6%となった後、+0.3%、+2.4%、+1.0%と4四半期連続上昇となった。そして2000年1月と2月の生産予測指数の平均は、10〜12月の生産実績平均に対して既に+3.2%の大幅上昇となっている。図表1を見るまでもなく、5四半期連続の生産上昇は確実となった。
【7〜9月期は国内最終需要が上方修正された】
先般99年7〜9月期のGDPの2次速報値が発表となり、実質成長率は前期比−1.0%で不変となった(図表2参照)。しかし、内容は大きく変わっている。
まず最終需要のうち、個人消費(−0.3%→−0.2%)、設備投資(−2.1%→−1.6%)、輸出(+4.7%→+5.0%)はいずれも上方修正された。この上方修正で成長率は0.2%の上振れとなる。
しかし、在庫投資が下方修正され、輸入が上方修正され、いずれも成長率の足を下に引張った。このため、全体として成長率は不変に止まったが、この在庫投資の減少幅拡大と輸入の増加幅拡大は、いずれも国内最終需要が拡大した結果であることを見逃してはならない。
その意味で、7〜9月期のGDP成長率不変の中味は、実は国内最終需要の基調が1次速報値作成時よりも強かったことを物語っている。
【10〜12月期の個人消費と公共投資は弱かった】
鉱工業生産は、前述の通り、5四半期連続上昇の勢いを示しているが、鉱工業はGDP全体の4分の1に過ぎない。残りの4分の3はサービス部門である。このサービス部門に最も関係の深い需要が個人消費と公共投資であるが、これが7〜9月期に続き10〜12月期も減少したようだ(図表3参照)。
個人消費の弱さには、冬期ボーナスの減少とコンピュータ2000年問題に伴なう生活防衛が響いたようだ。しかし本年3月期の3年振りの企業増益から判断すると、ボーナスの減少はこれが最後で、本年夏のボーナスからは増加に転じるのであろう。2000年問題も無事に終ったので、消費抑制の反動増加が本年1月の旅行や耐久消費財購入面に出ているようだ。
公共投資は、99年度当初予算の執行と99年度第2次補正予算・2000年度当初予算(いわゆる15ヵ月予算)の執行の谷間に入り、公共工事請負額(図表3)は前年比で落込んでいる。しかし15ヵ月予算の執行期に入る本年1〜3月期からは、回復するであろう。
【機械受注は2四半期連続して増加】
以上の結果、10〜12月期のGDP成長率は7〜9月期に続いてマイナス成長となろう。しかし本年1〜3月期、4〜6月期、7〜9月期については、公共投資が立直る。個人消費も、前述の生産連続上昇に伴なう雇用改善、時間外手当増加(図表3参照)によって下支えられ、とくに7〜9月期以降はボーナス回復によって増加するのではないか。
最も勇気付られる先行指標は、6〜9ヶ月後の設備投資動向を示す機械受注(民需、除く船舶・電力)である。図表3は前年同期比で示しているが、前年比マイナス幅は急速に縮小し、昨年10〜12月期には遂に+6.1%の増加に転じた。これを季節調整済み前期比でみると、昨年7〜9月期は+3.1%、10〜12月期は+9.9%と、2四半期連続で増加している。
従って設備投資は、早ければ本年1〜3月期、遅くとも4〜6月期から回復に転じる可能性が出てきた。
【本年1〜3月期以降はプラス成長へ】
以上を総合して判断すると、昨年下期には2四半期連続でマイナス成長となった後、本年1〜3月期からは再びプラス成長に転じ、下期には設備投資と個人消費に主導された成長パターンに変わってくる公算が高い。
株価の上昇基調も、こうした経済動向の予感に基づくものであろう。今後の各月の景気指標にそのような変化の兆が出るか、極めて注目されるところである。