年度内の業況見通しはやや悪化、来年度以降をにらんだ設備と雇用の計画は前向き、デフレ脱却は確信しているが2%インフレに達すると見る企業は少数(H26.12.16)

―12月調査「日銀短観」の見どころ

【業況判断DIの現状は前回比横這いながら先行きは悪化】
 昨日(12/15)公表された12月調査「日銀短観」は、前回9月調査との間隔が、年末の関係で通常の3か月ではなく、2か月半とやや短かったこともあって、企業の業況判断の現況は前回調査時点とあまり変化はなかった。消費増税前の駆け込みで盛り上がった3月調査時点に比べ、やや悪化した状態のまま、若干の「良い」超で横這い傾向を続けている。
 変化したのは、先行き感である。前回は先行きは現状比ほぼ横這いで、今回調査の現状はその通りになったが、今回の先行きは「良い」超幅が縮小した。1~3月期の業況はやや悪化すると見ている。


【本年度下期の輸出計画は小幅上方修正】
 本年度の売上・収益計画は、前回調査では全規模全産業で前年比+1.1%の増収、同-4.1%の減益であったが、今回調査では、中小企業の計画が大きく上方修正されたことを主因に、同+1.4%の増収、同-0.3%の減益とやや改善した。しかし、これでも前年度の同+5.5%増収、同+28.4%減益に比べれば、かなりの悪化である。
 その中で、一つ注目されるのは、大企業製造業の輸出計画が、本年度下期に前年比+2.0%と前回調査比+0.5%上方修正されたことである。米国景気の立ち直りと円安を反映したものであろう。

【本年度の設備投資計画の伸びは前年度の伸びを上回る】
 本年度のほとんどの経営指標が、前年度に比して悪化する見込みの中で、設備と雇用だけは、前年度より改善する見込みである。これは、売上・収益のような純粋なフローではなく、設備・雇用ストックの増分であるため、前年度からの累積的なストック改善の効果が出ているためであろう。
 「生産・営業用設備判断DI」は、全規模合計で見ると、製造業の「過剰」超幅が縮小、非製造業の「不足」超幅が拡大しているため、両者を合計した全産業で見て、今回調査の現状は過不足均衡のゼロとなり、先行きは「不足」超の-1%ポイントとなる。
 これを反映して本年度の設備投資計画(ソフトウェアを含み、土地投資額を除く)は、全産業と金融機関を合計したベースで、前回調査比+0.4%上方修正され、前年比+6.6%増と、前年度(同+6.2%増)を上回る伸びとなった


【雇用人員の不足感は進み15年度の新卒採用計画は前年比+7.1%】
 「雇用人員判断DI」は、大・中堅・中小のすべての規模の製造業と非製造業で「不足」超となり、「不足」超幅は調査ごとに拡大している。「不足」超幅は、非製造業が製造業よりも大きく、また企業規模が小さい程大きい。
 これを反映して、新卒採用計画は、全規模の製造業、非製造業、金融機関の合計で、来年度(15年度)は前年比+7.1%と前年度(同+5.3%)と本年度(同+3.6%)を上回る伸びが計画されている。

【企業の価格判断は上昇傾向持続】
 最後に「価格判断」DIの動向を見ると、円安を反映して、「仕入価格判断」DIの「上昇」超幅は製造業、非製造業とも、期を追って拡大している。他方「販売価格判断」DIは、製造業で「下落」超幅がやや縮小、非製造業で「上昇」超幅が拡大している。全体として価格の上昇傾向は強まっている。


【企業はデフレ脱却を確信しているが、日銀目標の上昇率2%に達すると見る企業は少数】
 このように、物価上昇率は徐々に高まる傾向を示しているが、本日(12/16)公表された12月調査「日銀短観」の「企業物価見通し」によると、全規模全産業ベースの平均で、企業は販売価格の上昇率を現在の水準に比較して1年後に+1.0%、3年度に+1.7%、5年度に+2.0%と見ている。
 更に、物価全般の前年比上昇率は、同じく全規模全産業ベースの平均で、1年度1.4%、3年度1.6%、5年度1.7%と見ている。
 企業自身の販売価格については、上昇テンポが減速し、物価全般については上昇テンポが加速するというやや矛盾した見方をしているが、いずれにしてもデフレからの脱却は確信しているように見える。但し、物価上昇率が日本銀行の目標の2%に達すると見る企業は少数である。