鳩山内閣の財政方針(H21.12.3)

―鈴木政経フォーラム09年度第4回昼食勉強会における藤井裕久財務大臣の見解―


 12月2日(水)、藤井裕久財務大臣をゲストに迎え、鈴木政経フォーラム09年第4回昼食勉強会が開かれた。冒頭、鈴木淑夫の問題提起を踏まえ、藤井大臣は45分間にわたって、鳩山内閣の財政方針を述べた。そのポイントを鈴木の責任で要約すれば、以下の通り。

【役人を敵に回すのではなく、官が政を支配する体制を政が官を支配する体制に変える】
 役人は行政技術者であり、政治に関与するなというのが、かつては大原則。しかし、万年与党の自民党が官に任せ切ってきたため、それが変質してしまった。
鳩山内閣では、省によって差はあるが、政務3役(大臣、副大臣、政務官)が仕切っている。政が勉強して確りしていれば、官は必ず言う事を聞く。
菅大臣はセンスがいい。要するに国民から頂いたものを、公がどこへ回すかという資源再配分の問題。配分を要求する「要求大臣」から、どこに回せば効率性が高まるかを判断する「査定大臣」になれと言うことで皆頑張って、09年度第1次補正予算を整査して、無駄な金を2.9兆円を引き出した。

【予算の大規模な組み替え】
 これを財源の一部として、本年度第2次補正予算は、事業規模で数十兆円にするので、明年上期の経済にはそれなりのインパクトを与える筈だ。
 行政刷新会議の事業仕分けは、自然科学者に評判が悪い。我々は先端技術を大事にする。しかし、内実は学者同志の対立で奪い合いや同種の研究が乱立している面もある。
 財務省は、仕分けの結果をそのまま実行しようと思っている。やっていないものも、類似の支出を参考にしてやる。ただ、公益法人は多過ぎて今回は手を付けられない。22年度にやる。

【内需主導成長を目指す】
 輸出も大切だが、各国とも輸出は伸ばしたいので、輸出主導の回復を目指すのはよくない。内需停滞で国民生活が犠牲になる。米国財務長官のガイトナーは「強いドル」が望ましいと言うが、アメリカは二枚舌で、バーナンキ連邦準備制度議長は「今はドルが安い方がよい」と言っている。
「マニフェスト」で約束した支出増加のうち、どこから手を着けるかは、“children first”でやりたい。行政刷新会議で抑えた上に、更に自分の省の支出を8千億円も抑えた前原大臣(国土交通)も居ることは、大いに評価している。

【「緊縮財政」ではなく「健全財政」】
 景気対策のため、日銀引受で赤字国債を増やせと言っている大臣は1人しかいない。他の大臣は、皆赤字国債論者ではない。
 自分は「緊縮財政」ではなく、「健全財政」を目指している。国債発行を増やして日本政府が国際的に信頼を失い、長期金利が上昇するようなことは、絶対に避けなければならない。
 自分は「健全財政」を堅持するため、来年度予算は国債発行額から逆算して考えている。国債発行額を本年度第1次補正後の44兆円以下に抑えるには、税収が40兆円を割り、歳出が90兆円を超えている以上、基金の取り崩しなどの「税外収入」を10兆円以上確保しなければならないと考えている。
 税制改革については、税制の透明化の見地から租税特別措置で得をしている企業を、A社いくら、B社いくらという形で公表したい。
 また「所得控除」(高所得者に有利)よりも「税額控除」、「税額控除」(納税していない低所得者には無関係)よりも「給付金付き」に変えていきたい。それには、納税番号制が要るので、22年度からは無理だが・・・。