10〜12月期のマイナス成長の9割は「純輸出」による

―10〜12月期GDP統計の注目点(H21.2.16)


【大幅なマイナス成長の9割は海外からの衝撃】
 本日(2/16)、昨年10〜12月期のGDP統計(1次速報値)が発表され、同期の実質成長率は前期比−3.3%(年率−12.7%)という記録的な落ち込みとなった。
 しかし、この落ち込みの9割は、世界同時不況による「純輸出」の減少によるもので、国内需要は、4〜6月期や7〜9月期よりもマイナス成長幅が小さいことが、注目される。
 具体的に数字を挙げると、10〜12月期の実質輸出は前期比−13.9%(年率−45.0%)の急落となり、反面実質輸入は同+2.9%(同+12.0%)と増えているので、「純輸出」の実質成長率に対する寄与度は同−3.0%に達し、同期の実質成長率同−3.3%の90.9%は、この「純輸出」の落ち込みによることが分かる。
 米国発の金融危機に伴う世界同時不況の衝撃が、如何に大きいかが分かる。

【国内の不況要因は拡大していない】
 しかし、このことは裏を返すと、国内需要の実質成長率−3.3%に対する寄与度は、僅か−0.3%にとどまったことを意味する。これは、4〜6月期と7〜9月期の国内需要の成長率に対する寄与度が、夫々−1.0%、−0.4%だったことを考えると、むしろ小幅である。
 ただし、10〜12月期の国内需要の中で在庫投資の成長寄与度が+0.4%と大きく、これが過剰在庫の積み上がりであることを考慮すると、実勢では、国内需要の成長寄与度のマイナス幅がもう少し大きいと見るべきであろう。しかし、それにしても、10〜12月期の国内の不況要因は、4〜6月期の国内の不況要因(寄与度−1.0%)よりも小さい。
 今回の不況は、もっぱら世界同時不況の衝撃に由来するもので、国内要因に由来する不況はその心理的影響と株価暴落による逆資産効果によるものであり、今のところ小さい。

【GDPデフレーターは上昇】
 10〜12月期のGDP統計でもう一つ注目すべき動きがある。
 それは、GDPデフレーターが前年同期比+0.9%の上昇に転じたことだ。このため、GDPの「名実逆転」は解消し、10〜12月期の名目成長率は、前期比年率−6.6%と実質成長率の同−12.7%よりもマイナス幅は小さくなった。
 GDPデフレーターが上昇に転じたのは、世界不況を反映して日本の輸入デフレーターが前年同期比−11.7%の下落に転じたためである。つまり、日本の国内需要デフレーターがまだ上昇しており、輸出デフレーターは輸入デフレーターほど大きく下落していないため、総需要デフレーター(国内需要デフレーターと輸出デフレーターの加重平均)から輸入デフレーターを加重平均で差し引いたGDPデフレーターが上昇してしまうのだ。
 このことから分かるように、内外価格の体系(格差)が動いている時には、GDPデフレーターは国内のインフレ、デフレの指標にはならない。04〜07年のGDPデフレーターの下落は、国内にデフレが残っていた証ではない。同様に、10〜12月期以降のGDPデフレーターの上昇は、国内でインフレが始まった証ではない。