設備投資の上方修正を主因に05年度は3.2%の高成長に修正H18.6.12)

─13月期GDP2次速報

05年度成長率は実質+3.2%、名目+1.9%へ上方修正】
 本日(612日)発表された本年13月期のGDP2次速報によると、実質成長率は前期比+0.5%(年率+1.9%)成長から同+0.8%(年率3.1%)成長へ大幅に上方修正された。
 この結果、2005年度の平均成長率は、実質+3.0%から+3.2%へ、名目は+1.7%から+1.9%へ、それぞれ上方修正された。3%台成長は、バブル崩壊に伴って日本経済が長期停滞に陥って以来、初めてである。また名目+1.9%成長は、橋本内閣の超緊縮予算(1997年度)によって日本経済がデフレに陥って以来、最高の伸びである。
 実質+3.2%成長は、日本経済の潜在成長率(+2%前後)を大きく上回っており、需給ギャップは大きく改善されてデフレ終焉の条件となっている。
 名目+1.9%成長は、長期国債金利を大きく上回っており(ドーマー条件の成立)、財政赤字の縮小に大きく貢献している。

【上方修正の主因は設備投資の予想外の強さ】
 本年13月期の実質成長率が前期比+0.5%(年率+1.9%)から同+0.8%(年率+3.1%)に大きく上方修正されたのは、設備投資が同+1.4%から同+3.1%へ2倍の伸び率に修正されたことが大きく響いている。この設備投資の上方修正だけで、成長率に対する寄与度は+0.2%ポイントから+0.5%ポイントへ+0.3%ポイント増えており、成長率の上方修正(+0.3%ポイント)を総て説明できる。
 また2005年度成長率がプラス3.0%から3.2%に上方修正された原因についても、設備投資の増加率が+6.6%から+7.5%に上方修正され、成長率に対する寄与度が+0.9%ポイントから+1.1%ポイントへ0.2%ポイント増えたことによって説明出来る。
設備投資が予想外に強いのである。

【法人企業統計の13月設備投資は大幅な伸び】
 1週間前の65日(月)に発表された本年13月の「法人企業統計」によると、全産業ベースの13月期の設備投資(季節調整済み)は、前期比+6.2%の大幅増加となった。この統計に基づいて13月期GDPの第2次速報が推計されたため、前述のような設備投資とGDPの大幅な上方修正となったのである。

 

 


4月の機械受注は見通しを大幅に上回る】
 また先週末の69日(金)に発表された4月の「機械受注統計」によると、民需(除船舶・電力)は前月比+10.8%、前年比+12.2%の大幅な伸びとなった。46月の見通しが前期比−2.5%、前年比+3.3%となっていたので、設備投資の先行きにやや不安が出ていたが、4月の機械受注は見通しを大きく修正させるものである。

 

 


06年度も設備投資・民間消費主導の成長パターンが続くか】
 本年度の設備投資については、7月初めに発表される6月調査「日銀短観」が待たれるが、日経新聞社が1498社を対象に調査した結果では、06年度の当初計画(電力を除く全産業)は05年度実績見込み比+14.5%と、05年度の同+12.9%を上回る2桁の伸びを維持すると見られている。
 06年度はまだ始まったばかりであるが、設備投資の伸びが成長を引張り、民間消費の底固さが成長を下支える05年度の成長パターンは崩れていないように見える。
 しかし設備投資は企業経営者の先行き見通しに大きく依存するだけに、今後の米国経済の減速の程度、金利と円ドル相場の動向、政府の歳出歳入同時改革の内容などによって左右される余地は残されている。