2002年は守旧派回帰か改革断行かを争う年 (2002.1.1)

−年頭所感−

【昨年は小泉首相の登場で情勢が一変した年】
 2002年の年頭にあたり、所感の一端を申し述べたい。
 昨年は、将に「山が動く」年となる筈であった。年初、森内閣と自民党に対する国民の支持は地に落ちていたので、7月の参議院選挙で自民党が大敗し、政界再編は必至と見られていた。事実、6月の都議選の自民党候補たちは、自民党の公認を返上して無所属で戦う決意を固めていた。
 自民党のこの危機感が、4月の総裁選で小泉純一郎総裁を生み出し、小泉内閣を発足させた。
 小泉首相はその天才的なパフォーマンスによって、「自民党を変える!日本を変える!」と叫び続け、改革に対する日本国民の期待を一身に集め、8割前後の高い支持率を獲得した。つれて自民党に対する支持率も急上昇し、6月の都議選と7月の参議院選は自民党の圧勝に終わった。「山は動かなかった」。

【改革を語るだけで実施していない小泉首相】
 小泉首相は、昨年の年末まで“NATO”、すなわち“No Action,Talking Only”で過ごした。発足して半年余りなので、改革を語るだけで、まだ改革を実施する時間が無いのは当然だというのが、小泉首相の口癖である。
 12月26日付の朝日新聞に出た世論調査によると、72%の国民はこのような小泉首相を支持している。しかし、小泉首相のどこが良いのかという質問に対しては「政治姿勢」の35%が最高である。反対にどこが悪いかという質問に対しては、「景気・雇用対策」が45%と極めて高く、次いで「外交防衛」の17%となっている。
 つまり国民は“Talking Only”ではあっても、改革を語る首相の姿勢に従来の首相には無かったものを感じ、期待を寄せているのである。しかし“No Action”については、景気・雇用対策の実施を求め、外交防衛政策を確りしろと要求しているのだ。

【本年は国民の期待を裏切る経済大波乱が起きる可能性】
 このように国民は、小泉首相の政策には決して満足していない。それが端的に現れているのが、構造改革が進んでいると答えた国民が35%、進んでいないと答えた国民が63%に達している事だ。
 要するに国民は、小泉首相は構造改革をまだ実施していないが、その政治姿勢から判断して実施するであろうと期待して支持しているのである。
 今年、2002年という年は、この国民の期待が裏切られ、大きな波乱の年になるのではないかと思う。何故なら、このホームページの「最新コメント」欄“平成14年度予算は羊頭狗肉のデフレ予算(H13.12.25)”に書いたように、2002年に実施される予算は改革とは名ばかりで、実は単なるデフレ予算に過ぎないからだ。
 同じくこのホームページの「月例景気見通し」の2001年11月版や12月版に書いたように、このデフレ予算の執行により、年度末をはさむ本年上期の景気や金融情勢は最悪の事態を迎える可能性が高いからだ。

【守旧派的な景気重視か眞の構造改革断行かを争う年】
 その時、自民党の抵抗勢力は「それ見たことか!改革より景気対策が重要だ」と叫ぶであろう。これに対してわが自由党は「民間経済の活性を呼び戻す前向きの改革をいつまでもやらないからこうなったのだ」と叫ぶであろう。
 小泉首相が前者につけば支持率は下がり、やがて自民党守旧派の天下に戻るであろう。後者につけば、政界再編の波乱が起きる。
 自民党守旧派は、平成14年度予算の編成過程で行ったように、小泉首相に改革の「名」を取らせ、自分たちが既得権益の「実」を取って行けば、小泉内閣は安泰だと考えているようだ。しかし彼等は、タイタニック号の甲板上の乗客のようなもので、近付く大氷山(経済波乱)に衝突して沈没する運命にあることを知らない。
 2002年は、とても安泰な年などではあるまい。経済波乱を巡って、守旧派的な景気重視に回帰するのか、それとも眞の改革を断行するのか、国民世論と政界が大きく真っ二つに割れて激しい攻防が展開される年ではないか。