私ならこうする!(2001.3.5)

−緊急レポート(その2)−

【経済戦略は「日本一新」の改革が基本】
 年央の参院選と都議選の結果、自公保連立政権が退場し、自由党が政権に参加することになれば、私は自由党の政策責任者の一人として、次のような政策を実行する。
 まず経済戦略の基本は、「日本一新」の改革で経済発展の基盤を作ることに置き、改革の過渡期には改革と表裏の関係にある財政政策によって、確りと景気を下支えして行く。そして、改革が進み、民間需要主導型の成長が定着したことを十分に確認した後、財政赤字の積極的な削減を進める。
 「日本一新」の改革とは、規制撤廃と地方分権によって、「官が民を指導し、中央が地方を支配する」現在のシステムを壌し、「元気で自立した創造性あふれる民間市場経済」と、「小さな効率的な政府」から成るシステムに改めることである。官や中央の仕事は、民や地方に対して事前にルールを明示することであり、ルールを守る限り民と地方の活動は自由とし、自主性にまかせるのである。中央政府は、外交、防衛、司法、警察、基幹交通網建設などの仕事に専念する。

【歳出予算では公共事業費の大都市圏集中と消費直結型支出の増額】
 当面の予算について言えば、まず公共事業は、地方バラ散き型の効率の悪い事業を削減し、大都市圏の交通、防災、環境など効率の高い事業(東京の西部で言えば南北に走る大深度トンネル建設など)に集中する。その際、民間よりも高い公共事業の単価の引下げ、補助事業にまつわる無駄の排除などにより、同じ名目予算でも工事量が増えるようにして景気を支える。
 次に消費に直結する歳出項目としては、雇用環境改善策、福祉政策など(早期転職支援事業、訓練中の失業保険延長給付、介護人材育成、保育所整備の前倒し、育児・介護休業制度の拡充・支援など)を拡大する。
 また平成13年4月からの雇用保険料引上げ、10月からの介護保険料倍増によって、政府予算は2.4兆円の所得増税と同じ国民負担率の上昇(36.5%から36.9%へ)が生じるが、私はこの社会保険料引上げをストップする。
 とくに平成12年度に発足したばかりの介護制度については、社会保険方式から消費税方式へ転換することとし、保険料の徴収ストップと12年度分の返還を行うべきである。
【広くて薄い簡素な税制で大幅な所得減税】
 しかし、消費を立て直す決め手は、所得減税である。扶養控除をはじめとする各種の所得控除は、所得が課税水準に達しない低所得層には恩恵が及ばないので、所得控除はやめにして必要なものは手当てで支給する。そうすると、所得控除の廃止で課税最低限が下がるので、その分大幅な所得税率の引下げと簡素化が可能になる。その結果、誰でも自分の納税額が計算できる簡素で薄く広い所得税制となり、国民の自立心は高まり、努力した人が報われる税制となる。
 この減税の財源は、行政改革による歳出削減によって捻出する。前述のように規制撤廃と地方分権で中央政府の仕事を減らし、まずその歳出を削減する。
 次に中央政府が認定すると地方公共団体に補助金の出る「補助事業」の制度を廃止し、補助金相当額は地方自治体(但し人口30万人以上)に一括交付し、投資先は自治体が自主的に決めてよいことにする。これで中央・地方の接衝に要る費用が無くなり、投資先の選別も地方の実情に沿ったものになるので、無駄が排除され、効率が上がり、公共事業費は2割以上削減しても同じ工事量を確保できる。

【中央・地方の歳出を全体で1割削減し15兆円を浮かす】
 以上の行政改革によって、所得減税に必要な財源を捻出することが出来るが、自由党は更に大規模な行政改革を考えている。
 それは地方自治体の合併促進である。現在の自治体の数は、県市町村を合わせて3200ほどある。これを、県と、人口30〜40万人以上の市300ほどにするのである。前述したように、補助金相当額の一括交付を受けて自主的に投資計画を立てられる自治体は、人口30万人以上の市だと思う。独自の介護サービス供給体制一つ考えてみても、30万人未満の市町村では難しいであろう。
 そうなると、自治体が3200から300ほどに減るのであるから、首長や議会の数は2900減り、地方議員はもっと減り、大規模な経費節約になる。これと、中央政府のスリム化を合わせると、現在の中央・地方合わせた歳出規模150兆円の少なくとも1割、15兆円は軽く節約できるに違いない。そのうちの10兆円を減税財源とし、残りの5兆円以上と、元気な民間がリードする成長から得られる税の自然増収によって、財政赤字の削減は着実に進めることが出来る。

【「日本一新」は経済、行政、財政、政治の改革が一体となった壮大なビジョン】
 以上が「日本一新」の経済改革、行政改革、財政改革のスケッチであるが、これは同時に政官業癒着の利益誘導政治の温床を絶つ、政治改革にもなるのである。
 官が民を指導し、中央が地方を支配するパイプの仲介役として自民党の政治家が暗躍しているのであるが、規制撤廃にって裁量行政からルール行政に転換すれば政治家が裁量に介入することは出来なくなる。補助事業は無くなってしまうのであるから、選挙区のために補助金を獲得し、成功報酬として「金」と「票」をもらうことも出来なくなる。
 このように自由党が持っている「日本一新」のビジョンは、経済改革、行政改革、財政改革、政治改革が表裏の関係で一体となった壮大なビジョンである。是非ともこれを実行に移させて頂きたい。そうすれば21世紀の日本は立直れる。その成否は、参院選と都議選における選挙民お一人お一人の決断にかかっている。