自公保連立は政権担当能力を失った!(2001.3.5)

−緊急レポート(その1)−

【経済戦略が完全に破綻した】
 自公保連立政権は、設備投資と輸出による緩やかな回復が続けば、やがて雇用と賃金が上向いて国民の暮らし(消費)が良くなり、景気回復が加速してくると言い続けてきた。ところが、輸出は昨年10〜12月期から減少に転じ、設備投資も1〜3月期の機械受注が減少見通しとなって先行きが危なくなってきた。
 それにも拘らず、待望の個人消費に立直りの兆はない。それもその筈で、失業率は1月も4.9%と最悪のままで、先行き雇用は更に悪化しそうである。
 緩やかな回復が続けばやがて個人消費が立直り、設備投資と個人消費がリードする民間需要主導型の自立的成長が始まるという自公保連立政権の経済戦略は完全に破綻してしまった。それどころか、1〜3月期から生産が減少し始め、過剰在庫が発生しているので、この先景気後退に陥る危険性が高まっている。株価もそれを懸念し、バブル崩壊後の最安値になってしまった。

【12年度補正予算と13年度当初予算では流れを変えられない】
 自公保連立政権は、数の力で12年度補正予算と13年度当初予算を成立させたが、二つの予算は相変わらず地方バラ散き型の効率の悪い公共事業(北陸や九州のフル規格新幹線の着工、沈み行く関西空港の二期工事着工、地方の道路・港湾事業拡大など)に偏っている。
 その上、両予算を合計した規模(真水ベース)は、11年度補正予算と12年度当初予算の合計よりは5兆円、10年度補正予算と11年度当初予算の合計よりは6兆円も少ない。内容が旧態然とした効率の悪いままで規模が縮小しているのであるから、景気後退を押し戻す力などあるはずがなく、逆に景気の足を引張っている。
 更に悪いことには、待望の個人消費回復を直接促進するために必要な雇用・福祉対策、所得減税、社会保険料引上げストップなどがまったく両予算に入っていないのである。

【森総理退陣だけで問題は解決しない】
 経済戦略の破綻と景気後退の危機、それを止められない12年度補正予算と13年度当初予算の責任は、森総理だけの責任ではない。これは自公保連立政権全体の責任である。

 設備投資と輸出で製造業の生産が立直っても、収益の回復は借入金の返済、値下りした不動産の損切り売り、不良債権の償却などバブル崩壊で痛んだバランスシートの改善という「後向きの敗戦処理」に使われ、雇用拡大、賃金引上げという「前向きの体制整備」には当分使われない。そのような深刻なバブル後遺症、企業リストラの持続がマクロ経済的に何を意味しているかについて、自公保連立政権はまったく認識しておらず、そのことが誤った経済戦略とその破綻につながったのである。そのひとつの証拠には、3月2日の予算委員会における平成13年度予算の締め括り質疑で、自由党を代表して発言した私に対し、宮沢財務大臣は「何故消費が出てこないのか、どうしたら消費を引出せるのか、鈴木委員の見解を伺いたい」と逆質問する始末であった。
 自公保連立政権の中には、宮沢財務大臣を含め、経済の実態を正しく認識し、対処できる政治家が一人も居ないということである。

【自民党政治の体質が日本の危機を招いている】
 経済に対する政策対応能力の欠如だけではない。KSDスキャンダルが雄弁に物語っているように、特定の企業、組織、業界グループなどの利益になる政策を実行し、成功報酬として政治資金(ヤミ献金を含む)や票(幽霊党員の組織ぐるみ選挙など)を得る自民党政治の体質そのものが改革を遅らせ、日本経済の再生を不可能にしているのである。
 地方バラ散き型公共事業が続くのも、規制撤廃や地方分権が進まないのも、すべては自民党と特定グループ(企業、組織、業界など)と主管省庁の既得権益化した癒着体制が抵抗するからである。
 自民党が政権の中心に座り、公明・保守の両党が政権欲だけでそれに追従している現在の自公保連立政権の下では、日本の改革は絶対に進まず、経済が立直ることもなく、国民の暮らしが良くなることはあり得ない。今年の参院選と都議選でこのような政官業癒着の利益誘導政治に断を下し、自公保連立政権を退場させない限り、日本は本当にダメになってしまう。