第150回臨時国会は政局にも響きかねない波乱含み(2000.9.22)
【波乱含みの4法案と補正予算を72日間で審議】
9月21日(木)から12月1日(金)まで72日間の日程で、第150回臨時国会が始った。今世紀最後の国会である。
この国会には、@参議院選挙制度の改革案、A国会議員等の地位利用収賄処罰法案、B永住外国人の地方参政権付与法案、C少年法改正案、の四つの重要法案と、来年の経済を左右する平成12年度補正予算案が提出される。
このうちC少年法改正案については、少年犯罪に対する処罰を強化する方向で与野党の足並みがほぼ揃っているので、細部についての違いはあっても、大きな波乱要因にはならない。
問題は@〜Bの法案と補正予算案である。とくに@参議院選挙制度の改革案とA国会議員等の地位利用収賄処罰法案は、与党と野党が鋭く対立しているだけではなく、与党間および自民党内部に対立がある。またB永住外国人の地方参政権付与法案については、強力に推進しようとする公明党を除き、各党の内部には、見解の対立があり、自民党では討議拘束をはずす案も一時出ていたほどだ。
さらに補正予算については、その規模と内容について与野党間に大きな対立がある。
【自民党は党利党略で選挙法改正と補正予算を最優先】
政府・自民党は、党利党略の立場から、まず何よりも@参議院選挙制度の改正案を優先で成立させたいと考えており、次いで11月始めに補正予算案を提出しようとしている。A地位利用収賄処罰法案とB永住外国人の地方参政権付与法案については、もともと自民党の腰は引けており、Aは世論の動向に押され、またBは公明党との付き合い上、やむを得ず同調している法案である。
従って、@参議院選挙制度改正法案と補正予算が成立するならば、A〜Cを犠牲にしてもかまわないと考えているようだ。
何故それほどまでに@選挙法改革と補正予算にこだわるのか。それは言うまでもなく、来年夏の参議院選挙において自民党が有利になるように選挙法を変えたいからである。またその頃の景気を良くして選挙に有利な環境を作りたいからである。
【自民党内の結束と公明党への配慮の板ばさみ】
以上のように、今世紀最後の会期となった第150回臨時国会は、与野党間、与党間、および自民党内部に対立を含んだ重要法案が並んでおり、それを自民党が党利党略の立場から押し切ろうとしている。
一つ間違えば、連立に亀裂が入ったり、自民党内の対立が起きたりする可能性がある。森首相=野中幹事長は、与党の結束を重視して公明党の主張(とくにB永住外国人の地方参政権付与法案)に妥協すれば、自民党内の対立が激化し、逆に自民党内の対立を避ければ公明党を裏切ることになり兼ねない。
森政権が果たしてこの国会を乗切れるのかどうか、波乱含みの政局が続くことになる。