国会空転の真相 (97.10.8)

−国民をごまかす政府・与党−

【二枚舌を使う政府・与党】
 10月7日(火)に、新進、民主、太陽の三野党の委員が欠席したまま、自民党の 委員長の職権で、予算委員会が開かれた。政府閣僚と自民党など与党委員との間 では、八百長問答が繰り返された。
 野党3党の委員が欠席している理由は、泉井被告の国会喚問を与党が確約しない からである。泉井氏は先に、山崎自民党政調会長、小渕外相、三塚蔵相など自民 党有力議員に対する不正政治献金を自ら公表した。橋本総理や山崎政調会長は、 国会が泉井被告の証人喚問を決めればそれに従うと言っているが、その国会で多 数を占めるのは与党であり、その与党が喚問を決めないのだ。これは国民を欺く 二枚舌である。自分が決意すればそれが国会の意志になるのに、国会の意思に従 うと言いながら自分で決めないのである。やましいことが無ければ喚問を決める 筈であるから、二枚舌を使って喚問を決めないところをみると、やはり不正献金 や石油業界との利益誘導型癒着の事実があるからだと判断せざるを得ない。

【緊急法案が無いのになぜ急ぐのか】
 野党3党の委員が欠席したまま予算委員会を強行する理由として、政府・与党は 景気問題など緊急の課題が山積しているからだと言う。
 これも大ウソである。政府・与党は景気対策関連の法案を、今国会に1本も提出 していない。提出した財政構造改革法案は、この欄の9月29日付と7月17日 付にコメントを出したように、逆に景気の足を引っ張り、来年度以降3年間の日 本経済を低迷させ、経済危機を生み出すような法案である。
 日米防衛ガイドラインについても、野党3党が国会承認を求めているのに対し、 政府・自民党はそのは必要がないと言っている。
 行政改革については、11月までに中間報告を取りまとめるとしており、法案の 姿さえ見えない。
 このように、景気、防衛、行革のいずれについても緊急に審議すべき法案が1本 も無いのに、野党委員欠席のまま、お手盛りの予算委員会を強行するのは、予算 委員会の審議時間を消費して泉井喚問を行う時間を無くし、不正献金が国会の場 で暴露されるのを防ごうとしているためである。泉井喚問をつぶして、政府倫理 が真正面から今国会で議論されるのを避けようとしているのだ。
 政治倫理の確立を求める国民に対して、これほど馬鹿にした態度はないのではな いか。

【目先より将来に向けての改革を望む国民】
 民間では不正取引を行った金融機関が、徹底的にたたかれている。金融ビッグバ ンを考えれば将来への不安が増大するばかりだが、国民からはスキャンダルを黙 認してよいと言う声は聞こえてこない。足元の生活も大事だが、やはり国民は将 来に向け、正しい方向へ進むこと、改革することを願っている。
 政治も同じだと思う。政治家は口を開けば倫理観が大切だとは言うが自分も含め 身内には甘いと思われていては、国民の信頼は得られない。ここを逃げ切れば、 国民は忘れてくれると思っているとしたら大間違いだ。国民は目先よりも、将来 に向って改革の方向を確実にすることを願っている。いつ国会で多数をとる政治 家が、本気になって国民の期待に応え、日本の政治を変えようと思う日が来るの か。早くそうした日を実現しなければと思う。