4〜6月GDP発表で景気の前途は不安(97.9.18)



【景気見通しは一斉に下方修正】
 97年4〜6月期の実質GDPが前期比で年率マイナス11.2%減となったため、いまエコノミストの間で先行きの経済見通しが大きく下方修正されている。4〜6月の大幅落込みの結果、本年度の平均成長率のゲタがマイナス1.3%となった。残る3四半期の平均成長率が前期比年率3.2%となっても、本年度の平均成長率はゼロ%である。ましてや政府見通しの1.9%成長を達成するためには、3四半期の平均成長率が前期比年率8.8%でなければならない。こんな事はあり得ない。エコノミストの間では、本年度の平均成長率の見通しがゼロ%台に収斂するのではないか。

【政府のコメントはでたらめ】
 政府は、4〜6月のマイナス成長は1〜3月における消費税引上げ前の駆け込み需要の反動であり、1〜3月と4〜6月を平均した上期では年率0.7%成長しているので、景気回復の基調に変わりはないと言っている。しかし、半期ベースの年率成長率をさかのぼって見ると、96年1〜6月5.2%、7〜12月1.3%、そして今回の97年1〜6月が0.7%と、急激に鈍化している。景気回復の基調は次第に弱まっているのだ。これは、昨年7〜9月以降、景気対策の息切れで公共投資が減少傾向にあるうえ、本年度予算における9兆円(平年度ベース)の国民負担増で、本年4〜6月以降個人消費と住宅投資が低迷しているためである。

【先行きに3つの不安要因】
 本年7〜9月以降を展望していみると、更に三つの不安要因がある。
 第一は4〜6月に在庫が急増したので、7〜9月から在庫減らしの生産調整が、自動車、家電などで行なわれていることだ。これが素材産業にも波及して行くと、在庫調整は年度末まで続く可能性がある。
 第二は、設備投資の伸び率が次第に鈍化していることだ。これは先行指標である機械受注や投資計画によっても確認できる。
 第三は、経常収支の黒字拡大傾向に対する米国の警告が次第に強まっているので、外需の伸びが押えられたり、円高投機が起こったりする可能性が高まっていることだ。
 現在景気を支えている設備投資と外需が弱まり、7〜9月以降の成長率が極めて緩やかになると、本年度の平均成長率は殆どゼロにとどまる。失業率上昇、倒産多発、株価下落、金融危機などが起こり、投資や消費のコンフィデンスが一層冷え兼ねない。政府の財政構造改革も、破綻するほかはない。