中央省庁の再編案は看板のかけ替え(97.8.21)
行政改革は
@どのように規制緩和や地方分権を進め、Aその結果、どの仕事、人員、組織が不要となるかという経済構造改革と行政改革のグランドデザインを描きながら行うべき
問題点:
@本来の目的を検討せず、省庁の数減少が目標となっていて「数合わせ」「看板のかけ替え」が中心
A「利益相反のある担当部署の分離」「補完関係にある担当部署の統合」という基本的原理の欠如
性格不明の機関がまとめ、ポイントを外したこの案は今後、様々な批判を浴び、実現可能性の低い案であろう
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【位置付け不明確な行政改革会議 】
政府の行政改革会議が、中央省庁の再編案をまとめた。この会議は首相もメンバーの一人なので首相の私的諮問機関とも異なり、位置付けの不明確な存在である。これから自民党や与党3党で検討することになるのである。
【目的が変わってしまった?改革計画 】
この案の最大の問題点は、21世紀の日本を展望し、肥大化した中央政府の仕事を大幅
に整理・縮小し、簡素で効率的な政府に変えるという計画が、今回の組織再編の計画に
先行していないことである。 つまり、どのように規制緩和や地方分権を進め、その結
果どの仕事、人員、組織が要らなくなるのか、という経済構造改革と行政改革のグラン
ド・デザインなしに、中央省庁の「数合わせ」と「看板のかけ替え」だけを考えている。
これでは、看板屋さんや名刺屋さんなどが儲かるだけで、財政支出の無駄の排除には
ならない。 むしろ、歳出は過渡的に拡大するのではないか。
【ポイントのずれた原理原則 】
もう一つの問題点は、利益相反のある政策の担当部署は分離し、補完関係のある政策の
部署はまとめるという基本的な発想(行革の原理原則)を欠いていることである。
そのため、利益相反のある財政政策と金融行政が分離されずに大蔵省に残り、同じく利
益相反のあるミクロ的な個別産業政策とマクロ的な経済政策が、産業省に統一されるよ
うな議論もあった。
性格不明の機関がまとめた基本目標と原理原則を欠くこの案は、今後さまざまの方面か
らさまざまの批判にさらされることだろう。 恐らくまだまだ動く、実現可能性の低い
案であろう。